屋外タンク貯蔵所の基準を整理する
ガソリン10,000Lを貯蔵する屋外タンク貯蔵所を題材に、保有空地・避雷設備・敷地内距離などの基準を整理します。
屋外タンク貯蔵所の基準には、指定数量の倍数に応じて数値が変わる項目がいくつもあります。今回は5つの記述から誤っているものを選ぶ設問を題材に、屋外タンク貯蔵所の基準を整理します。
例題
ガソリン10000Lを貯蔵する屋外タンク貯蔵所について、次のうち誤っているものはどれか。
- 保安距離および敷地内距離を確保しなければならない。
- 保有空地の幅は9m以上でなければならない
- 指定数量の倍数が10以上となるので、避雷設備を設けなければならない
- タンクには、危険物の量を自動的に表示する装置を設けなければならない
- 圧力タンク以外のタンクには、無弁通気管を設けなければならない
正解は (2) です。ガソリン10,000L(指定数量の倍数50)の場合、正しい保有空地の幅は3m以上です。
前提:指定数量の倍数を確認する
ガソリンは第一石油類(非水溶性)で指定数量200Lなので、
指定数量の倍数は50倍です。この数値をもとに、各基準を確認していきます。
各基準の根拠条文
屋外タンク貯蔵所の基準は、危険物の規制に関する政令第11条に定められています。
保安距離・敷地内距離(第1項第1号・第1号の2)
屋外タンク貯蔵所の位置は製造所の保安距離の例によるほか、引火点を有する液体の危険物を貯蔵する場合は、敷地境界線からタンクの側板までの距離(敷地内距離)も別途確保しなければなりません。これはタンクの規模を問わず適用されます。
保有空地(第1項第2号)
屋外貯蔵タンクの周囲に保有すべき空地の幅は、指定数量の倍数に応じて次のように定められています。
| 指定数量の倍数 | 空地の幅 |
|---|---|
| 500以下 | 3m以上 |
| 500超1,000以下 | 5m以上 |
| 1,000超2,000以下 | 9m以上 |
| 2,000超3,000以下 | 12m以上 |
| 3,000超4,000以下 | 15m以上 |
| 4,000超 | タンクの直径又は高さの大きい方(15m未満不可) |
倍数50は「500以下」の区分に該当するため、必要な空地幅は3m以上です。9m以上が必要になるのは、倍数が1,000を超え2,000以下の場合です。
避雷設備(第1項)
指定数量の倍数が10以上の屋外タンク貯蔵所には、総務省令で定める避雷設備を設けること。
倍数50は10以上なので、避雷設備の設置が必要です。
危険物量の自動表示装置・通気管
液体の危険物の屋外貯蔵タンクには、危険物の量を自動的に表示する装置を設けること。
屋外貯蔵タンクのうち、圧力タンク以外のタンクにあつては総務省令で定めるところにより通気管を(…)設けること。
屋外タンク貯蔵所の基準一覧
政令第11条が定める屋外タンク貯蔵所の基準のうち、主なものをまとめると次のとおりです。
| 項目 | 基準の内容 |
|---|---|
| 保安距離 | 製造所の例による(住居10m以上、学校・病院等30m以上、重要文化財等50m以上など) |
| 敷地内距離 | 引火点を有する液体危険物を貯蔵する場合、敷地境界線からタンク側板までの距離をタンクの区分・引火点に応じて確保 |
| 保有空地 | 指定数量の倍数に応じて3m以上〜15m以上(倍数4,000超はタンクの直径又は高さの大きい方) |
| 標識・掲示板 | 屋外タンク貯蔵所である旨の標識、防火に関する事項を掲示した掲示板を設置 |
| タンクの材質・気密性 | 鋼板等で気密に造り、水張試験又は水圧試験で漏れ・変形がないこと |
| 避雷設備 | 指定数量の倍数が10以上の場合に設置 |
| 危険物量の自動表示装置 | 液体の危険物を貯蔵するタンクに設置 |
| 通気管・安全装置 | 圧力タンク以外は通気管、圧力タンクは安全装置を設置 |
各選択肢の検討
| 選択肢 | 内容 | 判定 |
|---|---|---|
| (1) | 保安距離および敷地内距離を確保しなければならない | ○ 正しい |
| (2) | 保有空地の幅は9m以上でなければならない | ✕ 誤り。倍数50は「500以下」区分に該当し、正しくは3m以上 |
| (3) | 指定数量の倍数が10以上となるので、避雷設備を設けなければならない | ○ 正しい(倍数50≥10) |
| (4) | タンクには、危険物の量を自動的に表示する装置を設けなければならない | ○ 正しい |
| (5) | 圧力タンク以外のタンクには、無弁通気管を設けなければならない | ○ 正しい |
なぜ(2)が誤りか
保有空地の幅は、指定数量の倍数が大きくなるほど段階的に広くなる仕組みになっています。ガソリン10,000L(倍数50)は最も規模の小さい区分(倍数500以下)に該当し、必要な空地幅はわずか3m以上です。「9m以上」という数値は、倍数が1,000を超え2,000以下という、はるかに大規模なタンクに適用される基準であり、この設問の条件には当てはまりません。
まとめ
屋外タンク貯蔵所の基準を数量から検討する際は、まず指定数量の倍数を計算し、その数値がどの区分に該当するかを確認することが不可欠です。保有空地の幅は倍数に応じて3m→5m→9m→12m→15mと段階的に変わるため、数値を機械的に暗記するのではなく、「倍数がいくつのときにどの区分か」を正確に対応づける必要があります。避雷設備は倍数10以上で一律に必要になる点も、あわせて押さえておきます。
参考文献
- 危険物の規制に関する政令 | e-Gov法令検索(第11条)