灯油の性状を整理する
灯油の引火点・比重・水への溶解性・静電気など、乙4試験で問われる性状を整理します。
灯油はガソリンと違って常温では比較的安全と思われがちですが、液温が上がると危険性が一変する点が乙4試験でよく問われます。今回は5つの記述から正しいものを選ぶ設問を題材に、灯油の性状を整理します。
例題
灯油について、次のうち正しいものはどれか。
- 攪拌、混合によっても静電気が発生しない
- 液温が引火点以上になると、ガソリンと同様に引火危険が生じる。
- 液温が常温(20℃)でも引火の危険性がある。
- 自然発火しやすい。
- 水より軽く、水によく溶ける
正解は (2) です。
灯油の一般的性状
灯油は第4類危険物のうち第二石油類に分類される、非水溶性の物品です。代表的な性状は次のとおりです。
| 項目 | 性状 |
|---|---|
| 色・外観 | 無色または淡黄色の液体 |
| 臭気 | 特有の石油臭がある |
| 引火点 | 40℃以上(40〜60℃程度) |
| 発火点 | 約220℃ |
| 液比重 | 約0.80(水より軽く、水に浮く) |
| 蒸気比重 | 約4.5(空気より重い) |
| 燃焼範囲 | 約1.1〜6.0% |
| 水への溶解性 | 溶けない(非水溶性) |
| 静電気 | 電気の不良導体で、攪拌・流動により静電気が発生する |
| 自然発火性 | なし(引火性液体であり、自然発火する性質はない) |
各選択肢の検討
| 選択肢 | 内容 | 判定 |
|---|---|---|
| (1) | 攪拌、混合によっても静電気が発生しない | ✕ 誤り。灯油も電気の不良導体で、攪拌・流動により静電気が発生する |
| (2) | 液温が引火点以上になると、ガソリンと同様に引火危険が生じる | ○ 正しい |
| (3) | 液温が常温(20℃)でも引火の危険性がある | ✕ 誤り。灯油の引火点は40℃前後で、常温では通常引火しない |
| (4) | 自然発火しやすい | ✕ 誤り。灯油に自然発火性はない |
| (5) | 水より軽く、水によく溶ける | ✕ 誤り。水より軽いのは正しいが、水にはほとんど溶けない(非水溶性) |
なぜ(2)が正しいか
灯油の引火点は40℃前後です。常温(20℃程度)では液面から発生する可燃性蒸気の量が少なく、通常は火気を近づけても引火しません。これが、引火点が約−40℃と極めて低く、常温でも常に引火の危険があるガソリンとの大きな違いです。
しかし、灯油の液温が引火点(40℃前後)以上に上昇すると、蒸気の発生量が増え、可燃範囲の濃度に達するため、ガソリンと同じように火気があれば引火する危険性が生じます。灯油だから安全というわけではなく、加熱されれば危険性が変わるという点が、この設問の核心です。
他の選択肢が誤りである理由
- (1):灯油もガソリンなどと同様に電気の不良導体であり、配管内の流動やタンクへの注入時の攪拌・落下によって静電気が発生・蓄積します。
- (3):常温(20℃)では引火点(40℃前後)に届いていないため、通常は引火しません。これは(2)と対になる知識で、「常温では安全、加熱すると危険」という灯油特有の性質を示しています。
- (4):自然発火は主に第3類危険物や一部の動植物油類に見られる性質で、灯油には当てはまりません。
- (5):比重が1より小さく水に浮く点は正しいものの、灯油は水にほとんど溶けない非水溶性の液体です。
まとめ
灯油は「常温では引火点に届かず比較的安全だが、液温が引火点(40℃前後)以上に上昇するとガソリンと同様に引火の危険が生じる」という、温度条件によって危険性が変わる点が最大のポイントです。色・臭気・比重・水への溶解性・静電気・自然発火性など、他の性状もあわせて表で確認しておきましょう。