第4類危険物の蒸気排出設備と取扱い上の注意事項を整理する
高温体・蒸気の排出場所・通風・容器の空間容積という観点から、第4類危険物の取扱い上の注意事項を整理します。
今回は4つの空欄を埋める設問を題材に、第4類危険物の取扱いに関する注意事項を整理します。
例題
次の文章の( )に入る用語の組み合わせとして、正しいものはどれか
「第4類危険物の取り扱いにあたっては、火気または(A)の接近を避け、その蒸気は屋外の(B)に排出するとともに、蒸気の発生しやすいところでは(C)をよくし、また貯蔵容器は(D)、容器の破損を防止すること」
A B C D (1) 高温体 低所 通風 満杯にし (2) 高温体 高所 通風 若干の空間容積を残し (3) 高温体 高所 換気 満杯にし (4) 高温体 低所 換気 若干の空間容積を残し (5) 低温体 高所 通風 若干の空間容積を残し
正解は (2) です。
文章の完成形
第4類危険物の取り扱いにあたっては、火気または高温体の接近を避け、その蒸気は屋外の高所に排出するとともに、蒸気の発生しやすいところでは通風をよくし、また貯蔵容器は若干の空間容積を残し、容器の破損を防止すること。
各空欄の根拠
A:高温体
第4類危険物(引火性液体)は、火気(炎・火花)だけでなく、熱せられた金属など目に見える炎のない高温体に接触・接近しただけでも引火する危険があります。低温の物体に近づけても引火の危険は生じないため、「低温体」では避けるべき理由が成り立ちません。
B:高所(屋外への排出口)
可燃性蒸気・微粉が滞留するおそれのある建築物の排出設備について、危険物の規制に関する政令第9条第1項はこう定めています。
可燃性の蒸気又は可燃性の微粉が滞留するおそれのある建築物には、その蒸気又は微粉を屋外の高所に排出する設備を設けること。
ここで混同しやすいのが、屋内の換気口と屋外への最終的な排出口の違いです。
- 屋内側:第4類の蒸気は空気より重く、室内では床など低所に滞留します。そのため、蒸気を捕集するための換気口(吸込み口)は低所に設けます。
- 屋外側:捕集した蒸気を最終的に大気中へ放出する排出口は、地上付近の人や火気から遠ざけ、大気中で安全に拡散・希釈させるため、高所に設けます。
つまり「低所で蒸気を集め、高所から屋外へ逃がす」という一連の流れであり、矛盾しているわけではありません。
C:通風
蒸気が発生しやすい場所では、空気の流れを確保して蒸気を滞留させないことが基本的な対策です。ここで使われている「通風」は「換気」とほぼ同義であり、この空欄単独では意味からどちらか一方に絞り込むことはできません。A・B・Dがそれぞれ確定した時点で選択肢(1)(3)(4)(5)が消去され、結果として残る(2)のCが「通風」になる、という消去法による判定になります。
D:若干の空間容積を残し
液体は温度が上昇すると膨張します。容器を満杯にしてしまうと、温度上昇時に逃げ場がなく内圧が高まり、容器が破損(破裂)するおそれがあります。そのため、貯蔵容器には若干の空間容積を残すことで、熱膨張分を吸収し、容器の破損を防止します。
各選択肢の検討
| 選択肢 | A | B | C | D | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|
| (1) | 高温体 | 低所 | 通風 | 満杯にし | ✕ B・Dが誤り |
| (2) | 高温体 | 高所 | 通風 | 若干の空間容積を残し | ○ 正しい |
| (3) | 高温体 | 高所 | 換気 | 満杯にし | ✕ Dが誤り |
| (4) | 高温体 | 低所 | 換気 | 若干の空間容積を残し | ✕ Bが誤り |
| (5) | 低温体 | 高所 | 通風 | 若干の空間容積を残し | ✕ Aが誤り |
まとめ
第4類危険物の取り扱いの基本は、「①高温体(火気だけでなく熱源全般)を避ける」「②発生した蒸気は屋外の高所に排出する」「③蒸気の発生しやすい場所は通風を良くする」「④貯蔵容器は若干の空間容積を残し、満杯にしない」の4点です。「蒸気は低所に滞留する」という性質(屋内の換気口の話)と、「排出口は高所に設ける」という対策(屋外への最終排出の話)は、指している場所が異なるだけで矛盾しない点を押さえておきましょう。
参考文献
- 危険物の規制に関する政令 | e-Gov法令検索(第9条第1項)