性質・消火

特殊引火物の性状を整理する

ジエチルエーテル・二硫化炭素・アセトアルデヒド・酸化プロピレンなど、特殊引火物に分類される物品の性状を整理します。

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特殊引火物は第4類の中でも最も引火・発火しやすいグループで、代表的な4物品(ジエチルエーテル・二硫化炭素・アセトアルデヒド・酸化プロピレン)はそれぞれ性質が異なります。今回は5つの記述から誤っているものを選ぶ設問を題材に、特殊引火物の性状を整理します。

例題

特殊引火物について、次のうち誤っているものはどれか。

  1. アセトアルデヒドは、無色透明でよく水に溶ける液体である。
  2. 酸化プロピレンは、別名プロピレンオキサイドともいう。
  3. 二硫化炭素は、無色の液体で水より軽く、水に溶けやすい。
  4. ジエチルエーテルは、特有の甘い刺激性の臭気があり、燃焼範囲は極めて広い。
  5. 二硫化炭素は、発火点が100℃以下で、第4類のうちでは発火点が特に低い危険物の1つである。

正解は (3) です。実際の二硫化炭素は水より重く、水にはほとんど溶けません。

特殊引火物の定義

特殊引火物は、消防法別表第一の備考でこう定義されています。

特殊引火物とは、ジエチルエーテル、二硫化炭素その他1気圧において、発火点が100度以下のもの又は引火点が零下20度以下で沸点が40度以下のものをいう。

「発火点100℃以下」または「引火点−20℃以下かつ沸点40℃以下」のどちらか一方を満たせば該当します。

特殊引火物の性状一覧

代表的な特殊引火物4品目の性状をまとめると、次のとおりです。

物品水溶性比重引火点発火点備考
ジエチルエーテル×約0.71約−45℃約180℃特有の甘い刺激臭。燃焼範囲が極めて広い。高濃度で麻酔作用があり、かつて麻酔薬として使用された
二硫化炭素×約1.26約−30℃約90℃純粋なものはほぼ無臭だが、市販品は不快な臭気を持つことが多い。水より重く、水にほとんど溶けないため水中に沈めて貯蔵する。発火点が第4類中で特に低い。神経毒性がある
アセトアルデヒド◎約0.78約−39℃約175℃刺激臭があり、沸点が低く揮発しやすい。酸化されやすく不安定で重合しやすい。毒性があり、発がん性も指摘されている
酸化プロピレン◎約0.83約−37℃約449℃別名プロピレンオキサイド。エーテル様の刺激臭があり、蒸気には毒性がある

◎:水溶性液体 ×:非水溶性液体(消防法上の指定数量の区分による)

各選択肢の検討

選択肢内容判定
(1)アセトアルデヒドは、無色透明でよく水に溶ける液体である○ 正しい
(2)酸化プロピレンは、別名プロピレンオキサイドともいう○ 正しい
(3)二硫化炭素は、無色の液体で水より軽く、水に溶けやすい✕ 誤り。水より重く(比重約1.26)、水にはほとんど溶けない
(4)ジエチルエーテルは、特有の甘い刺激性の臭気があり、燃焼範囲は極めて広い○ 正しい
(5)二硫化炭素は、発火点が100℃以下で、第4類のうちでは発火点が特に低い危険物の1つである○ 正しい(発火点約90℃)

なぜ(3)が誤りか

二硫化炭素は比重約1.26と水より重く、水槽の底に沈みます。また水にはほとんど溶けない非水溶性の物質です。この2つの性質を利用して、二硫化炭素は可燃性蒸気の発生を抑えるために水中に沈めて貯蔵するという、第4類の中でも特殊な取扱いをされることで知られています。「水より軽く、水に溶けやすい」という(3)の記述は、この代表的な性質を正反対に述べており、二重の誤りです。

まとめ

特殊引火物に共通するのは「発火点100℃以下」または「引火点−20℃以下かつ沸点40℃以下」のいずれかを満たすという定義で、代表的な4品目(ジエチルエーテル・二硫化炭素・アセトアルデヒド・酸化プロピレン)はいずれも引火点が−30℃台以下と極めて低い液体です。ただし水溶性・比重・発火点といった個別の性状は品目ごとに異なり、特に二硫化炭素は「水より重い(比重約1.26)」「水にほとんど溶けない」「発火点が90℃前後と第4類の中でも特に低い」という点で他の3品目と一線を画します。品目ごとの性状を定義とあわせて押さえておきましょう。

参考文献