危険物施設の届出義務を整理する
譲渡・引渡、廃止、品名等の変更、保安統括管理者の解任など、消防法上の各種届出をいつまでに行うべきかを整理します。
危険物施設に関する届出にはいくつかの種類があり、それぞれ届け出るタイミングが定められています。今回は5つの記述から誤っているものを選ぶ設問を題材に、各種届出を整理します。
例題
消防法に定められている各種届出について、次のうち誤っているものはどれか。
- 危険物施設の譲渡または引き渡しの届出は、許可を受けた者の地位を継承した者が遅滞なく届け出なければならない。
- 危険物施設の廃止の届出は、製造所等の用途を廃止する日の10日前までに届け出なければならない。
- 危険物の品名、数量または指定数量の倍数の変更届出は、変更する日の10日前までに届け出なければならない。
- 危険物保安統括管理者を解任したときは、遅滞なくその旨を届け出なければならない。
- 危険物施設の廃止の届出義務を怠った者には、罰則規定が適用される。
正解は (2) です。
選択肢の判定
| 選択肢 | 内容 | 判定 |
|---|---|---|
| (1) | 譲渡・引渡の届出は、地位を承継した者が遅滞なく届け出る | ○ 正しい(第11条第6項) |
| (2) | 廃止の届出は、廃止する日の10日前までに届け出る | ✕ 正しくは「遅滞なく」(事後の届出) |
| (3) | 品名・数量・指定数量の倍数の変更届出は、変更する日の10日前までに届け出る | ○ 正しい(第11条の4第1項) |
| (4) | 危険物保安統括管理者を解任したときは、遅滞なく届け出る | ○ 正しい(第12条の7第2項) |
| (5) | 廃止の届出義務を怠った者には罰則規定が適用される | ○ 正しい(第44条第八号) |
なぜ(2)が誤りか
製造所等の用途廃止の届出について、消防法第12条の6はこう定めています。
製造所、貯蔵所又は取扱所の所有者、管理者又は占有者は、当該製造所、貯蔵所又は取扱所の用途を廃止したときは、遅滞なくその旨を市町村長等に届け出なければならない。
つまり、廃止の届出は廃止した後に速やかに行うものであり、「10日前までに」行うものではありません。「10日前までに」というルールは、(3)の品名・数量・指定数量の倍数の変更に適用されるものです。この2つの届出のタイミング(「遅滞なく」と「10日前までに」)を入れ替えている点が(2)の誤りです。
届出項目一覧
危険物取扱者試験では、「遅滞なく届け出る」「10日前までに届け出る」という届出義務が複数登場し、混同しやすいポイントです。消防法の条文をもとに、代表的な届出項目を一覧にしておきます。
| 届出項目 | 内容 | 届出先 |
|---|---|---|
| 製造所等の譲渡または引渡 | 譲渡又は引渡があつたときは、譲受人又は引渡を受けた者は許可を受けた者の地位を承継する。承継した者は、遅滞なくその旨を届け出なければならない(第11条第6項)。 | 市町村長等 |
| 危険物の品名・数量または指定数量の倍数の変更 | 製造所等の位置、構造又は設備を変更しないで、貯蔵し又は取り扱う危険物の品名、数量又は指定数量の倍数を変更しようとする者は、変更しようとする日の10日前までに、その旨を届け出なければならない(第11条の4第1項)。 | |
| 製造所等の廃止 | 製造所等の用途を廃止したときは、当該施設の所有者、管理者又は占有者は、遅滞なくその旨を届け出なければならない(第12条の6)。 | |
| 危険物保安統括管理者の選任・解任 | 危険物保安統括管理者を定めたときは、遅滞なくその旨を届け出なければならない。これを解任したときも同様とする(第12条の7第2項)。 | |
| 危険物保安監督者の選任・解任 | 危険物保安監督者を定めたときは、遅滞なくその旨を届け出なければならない。これを解任したときも同様とする(第13条第2項)。 |
赤字で強調した部分の通り、ほとんどが「遅滞なく」である一方、**品名・数量・指定数量の倍数の変更だけは「変更しようとする日の10日前までに」**という例外です。この例外は1つだけと覚えておくと、選択肢の中でどれが入れ替えられているかにすぐ気づけます。
届出を怠った場合の罰則
これらの届出を怠ると、罰則の対象になります。
次のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金又は拘留に処する。(中略)第八条第二項…、第九条の三第一項…、第十一条第六項、第十一条の四第一項、第十二条の六、第十二条の七第二項、第十三条第二項…の規定による届出を怠つた者(消防法第44条第八号)
第44条第八号は、今回登場した届出(譲渡・引渡、品名等の変更、廃止、保安統括管理者の選任解任)をすべて含めて列挙しており、これらの届出義務を怠ると30万円以下の罰金又は拘留の対象になります。
まとめ
消防法上の届出は基本的に「遅滞なく」の事後届出ですが、品名・数量・指定数量の倍数の変更だけが「10日前までに」の事前届出という例外です。この設問では、廃止の届出にこの例外のルールを当てはめてしまっている点が誤りです。また、届出義務を怠ると罰則(30万円以下の罰金又は拘留)の対象になる点もあわせて押さえておきましょう。
参考文献
- 消防法 | e-Gov法令検索(第11条第6項、第11条の4第1項、第12条の6、第12条の7第2項、第13条第2項、第44条第八号)