定期点検の実施者と実施要件を整理する
消防法第14条の3の2・危険物の規制に関する規則第62条の4・第62条の6に基づき、定期点検を誰が行えるか、何を確認するか、頻度はどれくらいかを整理します。
今回は5つの記述から誤っているものを選ぶ設問を題材に、定期点検の実施者と実施要件を整理します。
例題
定期点検について、次のうち誤っているものはどれか。
- 製造所等の所有者・管理者または占有者は、定期点検記録を作成し、これを保存しなければならない。
- 定期点検は、消防法第10条第4項の技術上の基準に適合しているかどうかについて行わなければならない。
- 丙種危険物取扱者は、定期点検を行うことができない。
- 危険物施設保安員は、定期点検を行うことができる。
- 定期点検は、1年に1回以上行わなければならない。
正解は (3) です。丙種危険物取扱者も、自ら取り扱うことができる危険物の範囲内で定期点検を行うことができます。
定期点検の実施要件まとめ
定期点検に関する要件は、消防法第14条の3の2と、その委任を受けた危険物の規制に関する規則第62条の4・第62条の6にまとめられています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 記録の作成・保存義務者 | 製造所等の所有者、管理者又は占有者 |
| 点検の内容 | 消防法第10条第4項の技術上の基準に適合しているかどうか |
| 点検の頻度 | 原則1年に1回以上(告示で定める構造・設備は告示で定める期間) |
| 点検を行うことができる者 | 危険物取扱者(甲種・乙種・丙種を問わない)又は危険物施設保安員 |
| 丙種にできないこと | 自らの取扱範囲外の危険物についての「立会い」(点検そのものは自らの取扱範囲内で可能) |
各選択肢の検討
| 選択肢 | 内容 | 判定 |
|---|---|---|
| (1) | 所有者・管理者又は占有者は定期点検記録を作成し、保存しなければならない | ○ 正しい(消防法第14条の3の2) |
| (2) | 定期点検は消防法第10条第4項の技術上の基準に適合しているかどうかについて行う | ○ 正しい(規則第62条の4第2項) |
| (3) | 丙種危険物取扱者は、定期点検を行うことができない | ✕ 誤り。丙種も自らの取扱範囲内で点検を行うことができる |
| (4) | 危険物施設保安員は、定期点検を行うことができる | ○ 正しい(規則第62条の6) |
| (5) | 定期点検は、1年に1回以上行わなければならない | ○ 正しい(規則第62条の4第1項、原則) |
なぜ(3)が誤りか
定期点検を行うことができるのは「危険物取扱者又は危険物施設保安員」であり、この「危険物取扱者」には甲種・乙種・丙種のすべてが含まれます。丙種危険物取扱者は、自ら取り扱うことができる危険物(ガソリン、灯油、軽油、第三石油類の一部、第四石油類、動植物油類)の範囲内であれば、単独で定期点検を行うことができます。
ただし、丙種には立会いの権限がないという別の制限があります。甲種・乙種危険物取扱者は、自身が取り扱えない危険物についても、その取扱作業に立ち会うことで無資格者に作業させることができますが、丙種にはこの立会いの権限が認められていません。この「点検を行う権限」と「立会いの権限」の違いを混同させるのが、この種の設問の典型的なひっかけです。
まとめ
定期点検は、①所有者等が記録を作成・保存する義務を負い、②消防法第10条第4項の技術上の基準への適合性を確認するもので、③原則1年に1回以上、④危険物取扱者(甲種・乙種・丙種を問わない)又は危険物施設保安員が実施する、という4点で整理できます。丙種にできないのは「点検」ではなく「立会い」である点を区別しましょう。
参考文献
- 消防法 | e-Gov法令検索(第14条の3の2)
- 危険物の規制に関する規則 | e-Gov法令検索(第62条の4、第62条の6)