消火の原理と窒息消火の酸素濃度の目安を整理する
燃焼の3要素を取り除くという消火の基本原理と、窒息消火に必要な酸素濃度の目安を整理します。
消火の方法は、燃焼の3要素のどれを取り除くかで分類できます。今回は5つの記述から誤っているものを選ぶ設問を題材に、消火の原理と酸素濃度の目安を整理します。
例題
消化に関する説明で、次のうち誤っているのはどれか。
- 燃焼の3要素のいずれか1つを取り除けば消化は可能である
- 引火点以下にすれば、可燃性蒸気の発生を抑制でき消化することができる。
- 一般に酸素の濃度を30%以下とすれば、消化できる。
- 爆風により可燃性蒸気を吹き飛ばせば、消化できる。
- ハロゲン化物消火剤は、負触媒(抑制)作用による消化効果が大きい
正解は (3) です。正しくは酸素濃度を約14〜15%以下にすることが窒息消火の目安とされています。
消火の基本原理:燃焼の3要素を取り除く
燃焼が成立するには「可燃物」「酸素供給源」「点火源(熱源)」という3要素がすべて揃う必要があり、このうちいずれか1つでも取り除けば消火できるというのが消火の基本原理です。
| 取り除く要素 | 消火方法 | 具体例 |
|---|---|---|
| 可燃物の除去 | 除去消火 | ガスの元栓を閉める、燃えている物を取り除く、爆風で吹き飛ばす |
| 酸素供給源の遮断 | 窒息消火 | 泡・二酸化炭素・粉末で覆う、酸素濃度を下げる |
| 点火源(温度)の除去 | 冷却消火 | 水をかけて温度を下げ、引火点以下にする |
| 燃焼の連鎖反応の抑制 | 抑制消火(負触媒作用) | ハロゲン化物消火剤 |
各選択肢の検討
| 選択肢 | 内容 | 判定 |
|---|---|---|
| (1) | 燃焼の3要素のいずれか1つを取り除けば消火は可能である | ○ 正しい |
| (2) | 引火点以下にすれば、可燃性蒸気の発生を抑制でき消火することができる | ○ 正しい(冷却消火の原理) |
| (3) | 一般に酸素の濃度を30%以下とすれば、消火できる | ✕ 誤り。正しくは約14〜15%以下 |
| (4) | 爆風により可燃性蒸気を吹き飛ばせば、消火できる | ○ 正しい(除去消火の一種) |
| (5) | ハロゲン化物消火剤は、負触媒(抑制)作用による消火効果が大きい | ○ 正しい |
なぜ(3)が誤りか
空気中の酸素濃度は、通常約21%です。物質が燃焼を継続するには一定濃度以上の酸素が必要ですが、一般的な可燃物の場合、酸素濃度を約14〜15%程度以下まで下げると燃焼が困難になり、消火(窒息消火)の効果が得られるとされています。
ここで(3)の「30%以下」という数値を考えてみると、通常の空気(約21%)は既に30%を下回っています。つまり「酸素濃度を30%以下にする」という条件は、何も対策をしなくても常に満たされていることになり、窒息消火の基準として意味をなしません。正しくは、通常の空気中濃度(約21%)よりもさらに大幅に低い、約14〜15%以下まで酸素を減らす必要があります。
まとめ
消火の原理は「燃焼の3要素(可燃物・酸素供給源・点火源)のいずれかを取り除く」という1点に集約されます。窒息消火における酸素濃度の目安は約14〜15%以下であり、これは通常の空気中の酸素濃度(約21%)よりもかなり低い値です。「30%以下」のように、通常の空気の濃度より高い数値を挙げている場合は、窒息消火の基準として成立しない誤りだと判断できます。