指定数量未満の危険物の規制を整理する
消防法第9条の4に基づき、指定数量未満の危険物の貯蔵・取扱いがどの法令によって規制されるかを整理します。
指定数量以上の危険物は消防法・政令・規則という国の法令で規制されますが、指定数量未満の危険物がどこで規制されているかは見落とされがちです。今回は5つの記述から正しいものを選ぶ設問を題材に、指定数量未満の危険物の規制を整理します。
例題
指定数量以上の危険物の貯蔵・取り扱いについて規制しているが、指定数量未満の危険物の貯蔵・取り扱いについて、次のうち正しいものはどれか。
- 全く規制されていない
- 消防法で、指定数量以上の危険物と同等に規制されている。
- 消防法施行令で、準危険物として指定されている。
- 危険物の規制に関する規則で規制されている。
- 市町村条例で規制されている。
正解は (5) です。
根拠条文
指定数量未満の危険物の貯蔵・取扱いに関する規制は、消防法第9条の4に定められています。
危険物についてその危険性を勘案して政令で定める数量(以下「指定数量」という。)未満の危険物及びわら製品、木毛その他の物品で火災が発生した場合にその拡大が速やかであり、又は消火の活動が著しく困難となるものとして政令で定めるもの(以下「指定可燃物」という。)その他指定可燃物に類する物品の貯蔵及び取扱いの技術上の基準は、市町村条例でこれを定める。(第1項)
指定数量未満の危険物及び指定可燃物その他指定可燃物に類する物品を貯蔵し、又は取り扱う場所の位置、構造及び設備の技術上の基準(消防用設備等の技術上の基準を除く。)は、市町村条例で定める。(第2項)
つまり、消防法が直接規制するのは指定数量以上の危険物であり、指定数量未満の危険物の貯蔵・取扱いについては、各市町村が制定する火災予防条例などの市町村条例に委ねられています。
各選択肢の検討
| 選択肢 | 内容 | 判定 |
|---|---|---|
| (1) | 全く規制されていない | ✕ 誤り。市町村条例により規制されている |
| (2) | 消防法で、指定数量以上の危険物と同等に規制されている | ✕ 誤り。指定数量以上は消防法(国の法令)、指定数量未満は市町村条例による規制であり、根拠法令も規制内容も同等ではない |
| (3) | 消防法施行令で、準危険物として指定されている | ✕ 誤り。「準危険物」という区分・制度自体が存在しない |
| (4) | 危険物の規制に関する規則で規制されている | ✕ 誤り。同規則は指定数量以上の危険物を対象とする国の省令であり、指定数量未満を規制するものではない |
| (5) | 市町村条例で規制されている | ○ 正しい |
なぜ(5)が正しいか
消防法や政令・規則(危険物の規制に関する政令・規則)は、いずれも指定数量以上の危険物を貯蔵・取り扱う製造所等を対象とした、国レベルで統一されたルールです。一方、指定数量に満たない少量の危険物は、全国一律の基準になじまない地域事情(建物密集度、消防体制など)を踏まえて、各市町村が個別に条例で定めるという役割分担になっています。これは、指定数量未満のわら製品・木毛などの「指定可燃物」についても同様です。
「規制が存在しない」「国の法令(消防法・政令・規則)で規制される」という誤答は、指定数量以上の危険物に適用される規制の枠組みと、指定数量未満の危険物に適用される規制の枠組みを混同させるものです。
まとめ
指定数量以上の危険物は消防法・政令・規則という国の法令で規制されるのに対し、指定数量未満の危険物(および指定可燃物)は市町村条例で規制されるという役割分担を押さえておきましょう。「準危険物」のような制度は存在しない点にも注意が必要です。
参考文献
- 消防法 | e-Gov法令検索(第9条の4)