製造所の基準を整理する
危険物の規制に関する政令第9条に基づき、製造所の位置・構造・設備の基準を整理します。
製造所の基準を問う設問では、他の施設(屋内貯蔵所など)の基準を紛れ込ませて誤りを作ることがあります。今回は5つの記述から誤っているものを選ぶ設問を題材に、製造所の基準を整理します。
例題
製造所の基準について、誤っているものはどれか。
- 地階を設けないこと
- 床面積は、原則として1000平方メートル以下とすること。
- 学校・病院から30m以上の保安距離を保つこと。
- 建築物・工作物の周囲には、定められた幅の保有空地を確保すること。
- 指定数量の倍数が10以上の製造所には、避雷設備を設けること
正解は (2) です。
各選択肢の検討
| 選択肢 | 内容 | 判定 |
|---|---|---|
| (1) | 地階を設けないこと | ○ 正しい(政令第9条第1項四号) |
| (2) | 床面積は、原則として1000平方メートル以下とすること | ✕ これは屋内貯蔵所の基準であり、製造所の基準にはない |
| (3) | 学校・病院から30m以上の保安距離を保つこと | ○ 正しい(政令第9条第1項一号ロ) |
| (4) | 建築物・工作物の周囲に定められた幅の保有空地を確保すること | ○ 正しい(政令第9条第1項二号) |
| (5) | 指定数量の倍数が10以上の製造所には避雷設備を設けること | ○ 正しい(政令第9条第1項十九号) |
なぜ(2)が誤りか
危険物の規制に関する政令第9条(製造所の基準)は、保安距離・保有空地・地階の禁止・不燃材料や耐火構造・床の構造・採光換気設備・避雷設備・タンクや配管の基準など、22号にわたって細かく規定していますが、「床面積」を直接制限する規定は存在しません。
一方、「床面積(延べ面積)1000平方メートルを超えないこと」という規定は、屋内貯蔵所の基準(政令第10条第1項四号)に定められているものです。
一の貯蔵倉庫の床面積は、千平方メートルを超えないこと。(政令第10条第1項四号)
つまり(2)は、屋内貯蔵所の基準を製造所の基準であるかのように入れ替えた記述です。製造所には床面積の上限そのものが定められていません。
製造所の主な基準一覧
政令第9条が定める製造所の基準のうち、主なものをまとめると次のとおりです。
| 項目 | 基準の内容 |
|---|---|
| 保安距離 | 住居10m以上、学校・病院等30m以上、重要文化財等50m以上、特別高圧架空電線3m又は5m以上など |
| 保有空地 | 指定数量の倍数10以下は3m以上、10を超える場合は5m以上 |
| 地階 | 設けないこと |
| 壁・柱・床・はり・階段 | 不燃材料で造り、延焼のおそれのある外壁は耐火構造とすること |
| 窓・出入口 | 防火設備を設け、延焼のおそれのある外壁の出入口には自動閉鎖の特定防火設備を設けること |
| 窓・出入口のガラス | 網入りガラスとすること |
| 床(液状の危険物を取り扱う場合) | 危険物が浸透しない構造とし、傾斜と貯留設備を設けること |
| 採光・照明・換気設備 | 必要な設備を設けること |
| 可燃性蒸気・微粉の排出設備 | 屋外の高所に排出する設備を設けること |
| 静電気除去装置 | 静電気が発生するおそれのある設備に設けること |
| 避雷設備 | 指定数量の倍数が10以上の製造所に設けること |
まとめ
製造所の基準(政令第9条)には、保安距離・保有空地・地階の禁止・避雷設備など多くの項目がありますが、床面積の上限は含まれていません。床面積1000㎡以下という数値は屋内貯蔵所の基準であり、両者を混同しないことがこの設問のポイントです。製造所等の基準を比較する問題では、「その数値・規定はどの施設の基準か」を条文単位で正確に紐づけて覚えることが重要です。
参考文献
- 危険物の規制に関する政令 | e-Gov法令検索(第9条、第10条第1項四号)