法令

危険物流出事故時の応急措置義務を整理する

消防法第16条の3第1項に基づき、製造所等の所有者・管理者・占有者が事故発生時に直ちに講じなければならない応急措置の範囲を整理します。

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事故発生時の応急措置義務は、施設側が講じるべき措置と、消防吏員等が持つ別の権限が混在して出題されることがあります。今回は5つの記述から正しいものの数を答える設問を題材に、応急措置義務の範囲を整理します。

例題

製造所等で危険物の流出その他の事故が発生したとき、当該製造所の所有者・管理者または占有者が直ちに講じなければならないと定められているものはいくつあるか。

A 危険物が引き続き流出するのを防ぐ

B 流出した危険物の拡散を防止する

C 流出した危険物を除去する

D 事故現場付近にあるものを消防作業に従事させる

E 流出防止の処置をし、消化活動の準備をする

  1. 1つ
  2. 2つ
  3. 3つ
  4. 4つ
  5. 5つ

正解は (4) 4つ です。正しいのはA・B・C・Eの4つです。

根拠条文

事故発生時の応急措置義務は、消防法第16条の3第1項に定められています。

製造所、貯蔵所又は取扱所の所有者、管理者又は占有者は、当該製造所、貯蔵所又は取扱所について、危険物の流出その他の事故が発生したときは、直ちに、引き続く危険物の流出及び拡散の防止、流出した危険物の除去その他災害の発生の防止のための応急の措置を講じなければならない。

条文が具体的に名指ししている措置は、次の3つです。

  1. 引き続く危険物の流出の防止
  2. 危険物の拡散の防止
  3. 流出した危険物の除去

これに加えて、条文は「その他災害の発生の防止のための応急の措置」という包括的な文言も含んでおり、消火活動の準備など、上記3点以外の応急対応もこの一般条項でカバーされます。

各記述の検討

A:正しい

「危険物が引き続き流出するのを防ぐ」は、条文の「引き続く危険物の流出(…)の防止」にそのまま対応します。

B:正しい

「流出した危険物の拡散を防止する」は、条文の「(引き続く危険物の流出及び)拡散の防止」に対応します。

C:正しい

「流出した危険物を除去する」は、条文の「流出した危険物の除去」にそのまま対応します。

D:誤り

「事故現場付近にあるものを消防作業に従事させる」は、施設の所有者等が講じるべき応急措置ではなく、消防吏員・消防団員が火災現場付近にいる者に対して消火・避難誘導等への協力を求めることができるという、別の制度(消防法第25条の応急消火義務等)に関する内容です。第16条の3が定める「所有者等が講ずべき措置」には含まれません。

E:正しい

「流出防止の処置をし、消火活動の準備をする」のうち「流出防止」は条文の流出防止にそのまま対応し、「消火活動の準備をする」は条文の「その他災害の発生の防止のための応急の措置」に含まれる対応として、いずれも条文の内容に沿っています。

まとめ

事故発生時に製造所等の所有者・管理者・占有者が直ちに講じなければならない応急措置は、消防法第16条の3第1項が定める「引き続く流出の防止」「拡散の防止」「流出した危険物の除去」に加え、「その他災害の発生の防止のための応急の措置」も含まれます。付近の者を消火作業に従事させることは、施設側の義務ではなく消防吏員等が有する別の権限です。

参考文献