法令

屋内タンク貯蔵所の基準を整理する

危険物の規制に関する政令第12条に基づき、屋内タンク貯蔵所の位置・構造・設備の基準と、引火点40度以上の第4類にだけ認められる例外を整理します。

読了 7分 中級
  • #屋内タンク貯蔵所
  • #タンク専用室
  • #第四石油類

屋内タンク貯蔵所の基準には「原則」と「引火点40度以上の第4類危険物だけの例外」が同じ条文に混在しています。今回は第四石油類のみを貯蔵する屋内タンク貯蔵所を題材に、5つの記述から誤っているものを選ぶ設問を通じて、この原則と例外を整理します。

例題

第4類危険物の第4石油類のみを貯蔵する屋内タンク貯蔵所について、誤っているものはどれか。

  1. 屋内貯蔵タンクのタンク専用室は、平屋建て以外の建築物に設けないこと。
  2. 屋内貯蔵タンクとタンク専用室の壁との間は、0.5m以上の間隔を保つこと。
  3. 屋内貯蔵タンクの容量は、指定数量の40倍以下とすること。
  4. 屋内貯蔵タンクには、危険物の量を自動的に表示する装置を設けること。
  5. タンク専用室の床は、危険物が浸透しない構造にするとともに、傾斜をつけ、ためますを設けること。

正解は (1) です。

根拠条文

屋内タンク貯蔵所の基準は、危険物の規制に関する政令第12条第1項が「原則」を、第2項が「例外」を定める2段構えになっています。

危険物を貯蔵し、又は取り扱う屋内タンク(屋内貯蔵タンク)は、平家建の建築物に設けられたタンク専用室に設置すること。(第1項第1号:原則)

屋内タンク貯蔵所のうち引火点が四十度以上の第四類の危険物のみを貯蔵し、又は取り扱うもの(タンク専用室を平家建以外の建築物に設けるものに限る。)の位置、構造及び設備の技術上の基準は、(中略)次のとおりとする。(第2項:例外)

第四石油類は引火点200℃以上であり、「引火点40度以上」の条件を満たすため、この例外の対象になります。つまり第四石油類のみを貯蔵する屋内タンク貯蔵所は、平家建てのタンク専用室に設置する(原則)ことも、追加の防火基準を満たして平家建て以外の建築物にタンク専用室を設ける(例外)こともできます。

各選択肢の検討

選択肢内容判定
(1)タンク専用室は、平屋建て以外の建築物に設けないこと✕ これは原則(第1項)のみの記述で、第2項の例外(平家建て以外にも設置可)を否定してしまっている
(2)屋内貯蔵タンクとタンク専用室の壁との間は0.5m以上の間隔を保つこと○ 正しい(政令第12条第1項第2号)
(3)屋内貯蔵タンクの容量は指定数量の40倍以下とすること○ 正しい(政令第12条第1項第4号。後述のとおり第四石油類には上限リットル数の制限がないため、40倍がそのまま上限になる)
(4)屋内貯蔵タンクには危険物の量を自動的に表示する装置を設けること○ 正しい(政令第12条第1項第8号。液体の危険物が対象で、第四石油類も液体)
(5)タンク専用室の床は危険物が浸透しない構造にし、傾斜をつけ、ためますを設けること○ 正しい(政令第12条第1項第16号)

なぜ(1)が誤りか

(1)は「平屋建て以外の建築物に設けないこと」と、平家建てへの設置を絶対条件であるかのように断定しています。しかし政令第12条第2項は、引火点40度以上の第4類危険物のみを貯蔵する屋内タンク貯蔵所について、タンク専用室を平家建て以外の建築物に設置する場合の基準(壁・柱・床・はりをすべて耐火構造にする、窓を設けない、自動閉鎖の特定防火設備を設けるなど)をわざわざ明文で定めています。第四石油類はこの例外の対象そのものなので、「平屋建て以外に設けられない」という記述は誤りです。

容量の例外にも注意

(3)の「指定数量の40倍以下」も、実は例外が絡む記述です。政令第12条第1項第4号の原文は次のとおりです。

屋内貯蔵タンクの容量は、指定数量の四十倍(第四石油類及び動植物油類以外の第四類の危険物にあつては、当該数量が二万リットルを超えるときは、二万リットル)以下であること。

つまり、ガソリンや灯油など第四石油類・動植物油類以外の第4類危険物は「40倍」と「2万リットル」のいずれか小さい方が上限になりますが、第四石油類・動植物油類はこの2万リットルの上限が適用除外され、単純に「指定数量の40倍」がそのまま上限になります。(3)はこの例外を正しく反映した記述であり、誤りではありません。

平家建てが原則である施設の基準一覧

政令第12条第1項が定める、屋内タンク貯蔵所(平家建てが原則の場合)の主な基準をまとめると次のとおりです。

項目基準の内容
設置場所平家建の建築物に設けたタンク専用室(引火点40℃以上の第4類のみなら平家建て以外も可)
タンクと壁との間隔0.5m以上(タンクを2以上設置する場合は相互間も0.5m以上)
容量指定数量の40倍以下。ただし第四石油類・動植物油類以外は2万Lが上限
液面計・表示装置液体の危険物には、量を自動的に表示する装置を設けること
タンク専用室の壁・柱・床・はり耐火構造(不燃材料)とし、延焼のおそれのある外壁は開口部なしとすること
タンク専用室の床(液状の危険物)危険物が浸透しない構造とし、傾斜と貯留設備(ためます)を設けること
出入口のしきい床面から0.2m以上の高さとすること

まとめ

屋内タンク貯蔵所は原則「平家建てのタンク専用室」ですが、引火点40℃以上の第4類危険物のみを貯蔵する場合は、追加の防火基準を満たせば平家建て以外の建築物にも設置できるという例外があります。さらに容量の上限についても、第四石油類・動植物油類だけは2万リットルの上限が適用除外されるという、もう1つの例外が組み込まれています。「原則」と「第四石油類・動植物油類だけの例外」を混同しないことが、この分野の設問を解く鍵になります。

参考文献