屋内貯蔵所の構造基準を整理する
危険物の規制に関する政令第10条第1項に基づき、屋内貯蔵所(貯蔵倉庫)の構造の基準と、ガソリン・ベンゼンのような低引火点の危険物には緩和規定が適用されない理由を整理します。
屋内貯蔵所の構造基準は、壁・柱・床・はり・屋根・天井と項目が多く、似た表現が並ぶため、1か所だけ可否を逆にしたひっかけが作られやすい分野です。今回は5つの記述から誤っているものを選ぶ設問を題材に、貯蔵倉庫の構造基準を整理します。
例題
ガソリン20000L、ベンゼン3000Lを貯蔵する屋内貯蔵所の構造の技術上の基準として、誤っているものはどれか。
- 貯蔵倉庫は、軒高6m未満の平屋建てとすること。
- 床は、地盤面以上とすること。
- 壁・柱・床を耐火構造とすること。
- はりを不燃材料で造ること。
- 屋根は不燃材料で造り、かつ、天井を設けること。
正解は (5) です。
根拠条文
屋内貯蔵所(貯蔵倉庫)の基準は、危険物の規制に関する政令第10条第1項に定められています。
貯蔵倉庫は、地盤面から軒までの高さ(軒高)が6メートル未満の平家建てとし、かつ、その床を地盤面以上に設けること。(第4号)
貯蔵倉庫は、壁、柱及び床を耐火構造とし、かつ、はりを不燃材料で造るとともに、延焼のおそれのある外壁を出入口以外の開口部を有しない壁とすること。(第6号)
貯蔵倉庫は、屋根を不燃材料で造るとともに、金属板その他の軽量な不燃材料でふき、かつ、天井を設けないこと。(第7号)
条文が明確に「天井を設けないこと」と定めているのに対し、(5)は「天井を設けること」としており、可否が逆になっています。
各選択肢の検討
| 選択肢 | 内容 | 判定 |
|---|---|---|
| (1) | 貯蔵倉庫は、軒高6m未満の平屋建てとすること | ○ 正しい(政令第10条第1項第4号) |
| (2) | 床は、地盤面以上とすること | ○ 正しい(政令第10条第1項第4号) |
| (3) | 壁・柱・床を耐火構造とすること | ○ 正しい(政令第10条第1項第6号) |
| (4) | はりを不燃材料で造ること | ○ 正しい(政令第10条第1項第6号) |
| (5) | 屋根は不燃材料で造り、かつ、天井を設けること | ✕ 誤り。「天井を設けないこと」が正しい |
なぜ(3)(4)がそのまま適用されるか
政令第10条第1項第6号には、「指定数量の10倍以下の危険物の貯蔵倉庫、または第2類・第4類の危険物(引火性固体および引火点70℃未満の第4類危険物を除く)のみの貯蔵倉庫は、延焼のおそれのない部分を不燃材料で造ることができる」という緩和規定(ただし書き)があります。
しかし本問のガソリン(引火点約−40℃)・ベンゼン(引火点約−11℃)はいずれも引火点70℃未満の第4類危険物であり、このただし書きの対象から明示的に除外されています。さらに指定数量の倍数も、
- ガソリン:20,000L ÷ 200L(第一石油類・非水溶性の指定数量) = 100倍
- ベンゼン:3,000L ÷ 200L = 15倍
- 合計:115倍(10倍を大きく超過)
であるため、倍数の面でも緩和の対象になりません。したがって、この屋内貯蔵所には原則どおり(3)壁・柱・床の耐火構造、(4)はりの不燃材料という基準がそのまま適用されます。
貯蔵倉庫の構造基準一覧
政令第10条第1項が定める、貯蔵倉庫(屋内貯蔵所)の主な構造基準をまとめると次のとおりです。
| 項目 | 基準の内容 |
|---|---|
| 建築物 | 独立した専用の建築物とすること |
| 軒高・階数 | 軒高6m未満の平家建て(第2類・第4類のみの一定の貯蔵倉庫は20m未満まで可) |
| 床の高さ | 地盤面以上に設けること |
| 床面積 | 1棟の貯蔵倉庫につき1,000平方メートルを超えないこと |
| 壁・柱・床 | 耐火構造とすること(指定数量10倍以下、または第2類・第4類の一部は緩和あり) |
| はり | 不燃材料で造ること |
| 屋根・天井 | 屋根は不燃材料・軽量な材料でふき、天井は設けないこと |
| 窓・出入口 | 防火設備を設け、延焼のおそれのある外壁の出入口には自動閉鎖の特定防火設備を設けること |
| 窓・出入口のガラス | 網入りガラスとすること |
| 床(水との反応に注意が必要な危険物・第4類) | 水が浸入・浸透しない構造とすること |
| 床(液状の危険物) | 危険物が浸透しない構造とし、傾斜と貯留設備を設けること |
まとめ
屋内貯蔵所の構造基準は「壁・柱・床は耐火構造、はりは不燃材料」「屋根は不燃材料、かつ天井は設けない」という組み合わせが基本です。屋根と天井の規定はセットで問われやすく、「屋根は不燃材料で造る(正)」という正しい前半につられて、後半の「天井を設けない」を「設ける」と逆にする選択肢が典型的なひっかけです。また、耐火構造の緩和規定は指定数量10倍以下、または引火点70℃以上に限られた話であり、ガソリンやベンゼンのような低引火点・大量の第4類危険物には適用されない点もあわせて押さえておきましょう。
参考文献
- 危険物の規制に関する政令 | e-Gov法令検索(第10条第1項)