危険物の燃焼範囲の広さを比較する
ガソリン・メチルアルコール・灯油・軽油・ベンゼンの燃焼範囲を比較し、アルコール類の燃焼範囲が広い理由を整理します。
燃焼範囲は物質ごとに数値が異なり、石油系炭化水素とアルコール類とで傾向が大きく異なります。今回は5つの物質から燃焼範囲が最も広いものを選ぶ設問を題材に、燃焼範囲の考え方を整理します。
例題
次の危険物で燃焼範囲が最も広いものはどれか。
- ガソリン
- メチルアルコール
- 灯油
- 軽油
- ベンゼン
正解は (2) メチルアルコール です。
燃焼範囲とは
燃焼範囲(爆発範囲)とは、可燃性蒸気と空気の混合気体が燃焼(爆発)を起こすことができる濃度の範囲のことで、下限値(下限界)から上限値(上限界)までの幅で表されます。この範囲が広いほど、様々な濃度条件で引火・爆発する可能性があるため、危険性が高いと判断されます。
各物質の燃焼範囲
| 物質 | 燃焼範囲(体積%) | 範囲の幅 |
|---|---|---|
| ガソリン | 約1.4〜7.6% | 約6.2ポイント |
| メチルアルコール | 約6.0〜36% | 約30ポイント |
| 灯油 | 約1.1〜6.0% | 約4.9ポイント |
| 軽油 | 約1.0〜6.0% | 約5.0ポイント |
| ベンゼン | 約1.2〜7.8% | 約6.6ポイント |
表を見ると、ガソリン・灯油・軽油・ベンゼンはいずれも燃焼範囲の幅が5〜7ポイント程度に収まっているのに対し、メチルアルコールだけが約30ポイントと突出して広いことがわかります。
なぜメチルアルコールの燃焼範囲は広いのか
アルコール類(メチルアルコール・エチルアルコールなど)は、少ない蒸気濃度でも燃焼を開始でき、かつ高濃度になっても燃焼状態を維持しやすいという性質があります。そのため、上限値が36%前後まで及び、結果として燃焼範囲全体が非常に広くなります。
一方、ガソリン・灯油・軽油・ベンゼンのような石油系炭化水素は、燃焼範囲の上限値がおおむね6〜8%程度にとどまるため、範囲自体は比較的狭く収まります。
第4類危険物の燃焼範囲まとめ
品名ごとの代表的な物品について、燃焼範囲をまとめると次のとおりです。
| 品名 | 物品 | 燃焼範囲(体積%) |
|---|---|---|
| 特殊引火物 | ジエチルエーテル | 約1.9〜36% |
| 二硫化炭素 | 約1.3〜50% | |
| アセトアルデヒド | 約4.0〜60% | |
| 酸化プロピレン | 約2.3〜36% | |
| 第一石油類 | ガソリン | 約1.4〜7.6% |
| ベンゼン | 約1.2〜7.8% | |
| トルエン | 約1.1〜7.1% | |
| アセトン | 約2.15〜13% | |
| アルコール類 | メチルアルコール | 約6.0〜36% |
| エチルアルコール | 約3.3〜19% | |
| 第二石油類 | 灯油 | 約1.1〜6.0% |
| 軽油 | 約1.0〜6.0% |
数値は代表的な参考値です。測定条件により若干の幅があります。
特殊引火物(ジエチルエーテル・二硫化炭素・アセトアルデヒド・酸化プロピレン)とアルコール類(メチルアルコール・エチルアルコール)は、いずれも上限値が高く、燃焼範囲が広い品目としてまとめて覚えておくと役立ちます。
まとめ
燃焼範囲の広さを比較する設問では、個々の数値を丸暗記するよりも、「アルコール類は燃焼範囲が広い」という品名ごとの傾向を押さえておくと判断しやすくなります。石油系炭化水素(ガソリン・灯油・軽油・ベンゼン)とアルコール類(メチルアルコール)が並んでいる場合、アルコール類を選べば燃焼範囲が最も広いという結論にたどり着けることが多いです。