法令

危険物取扱者免状の手続きを整理する

交付・書換え・再交付・携帯義務など、危険物取扱者免状に関する手続きを条文にもとづいて整理します。

読了 6分 中級
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危険物取扱者免状に関する手続き(交付・書換え・再交付・携帯義務)は、申請先の都道府県知事や適用場面が微妙に異なり、混同しやすい分野です。今回は5つの記述から誤っているものを選ぶ設問を題材に、免状に関する手続きを整理します。

例題

危険物取扱者免状について、誤っているものはどれか。

  1. 免状は、危険物取扱者試験に合格した者に対して、都道府県知事により交付される。
  2. 乙種の免状に交付を受けている者が、貯蔵し、または取り扱うことのできる危険物の種類は、免状に指定されているものだけである。
  3. 免状の記載事項変更の際は、居住地または勤務地を管轄する都道府県知事、もしくは免状の交付を受けた都道府県知事に免状の書き換えを申請しなければならない。
  4. 免状を汚損した場合、その免状の交付または書き換えをした都道府県知事に免状の再交付申請をすることができる。
  5. 危険物取扱者は、移動タンク貯蔵所により危険物を移送する場合を除き、危険物取扱作業に従事する時は常に免状を携帯していなければならない。

正解は (5) です。実際には逆で、免状の携帯義務があるのは移動タンク貯蔵所により危険物を移送するときに限られます。

危険物取扱者免状に関する手続きまとめ

免状をめぐる主な手続きと、それぞれの申請先・適用場面をまとめると次のとおりです。

手続き・事項内容根拠
交付危険物取扱者試験に合格した者に対し、都道府県知事が交付する消防法第13条の2第1項
取扱範囲甲種はすべての類、乙種は免状に指定する種類のみ、丙種は特定の品名のみ危険物の規制に関する規則第49条
書換え記載事項に変更が生じたとき、遅滞なく、交付を受けた都道府県知事または居住地・勤務地を管轄する都道府県知事に申請する危険物の規制に関する政令第34条
再交付亡失・滅失・汚損・破損した場合、交付または書換えをした都道府県知事に申請できる(汚損・破損の場合は当該免状を添えて提出)危険物の規制に関する政令第35条第1項・第2項
亡失した免状の発見亡失により再交付を受けた後、亡失した免状を発見したときは、10日以内に再交付を受けた都道府県知事に提出しなければならない危険物の規制に関する政令第35条第3項
携帯義務移動タンク貯蔵所に乗車して危険物を移送しているときに限り、免状を携帯しなければならない消防法第16条の2第3項
返納命令この法律またはこれに基づく命令の規定に違反しているとき、免状を交付した都道府県知事が返納を命ずることができる消防法第13条の2
有効期間免状自体に更新の期限はなく、一度交付されれば失効しない(ただし実務に従事する場合は保安講習を別途定期的に受講する必要がある)-

各選択肢の検討

選択肢内容判定
(1)免状は、危険物取扱者試験に合格した者に対して、都道府県知事により交付される○ 正しい
(2)乙種免状所持者が取り扱える危険物は、免状に指定された種類だけ○ 正しい
(3)記載事項変更時は、居住地・勤務地の知事、または交付を受けた知事に書換えを申請○ 正しい
(4)汚損した場合、交付または書換えをした知事に再交付を申請できる○ 正しい
(5)移送する場合を除き、取扱作業に従事する時は常に免状を携帯しなければならない✕ 誤り。携帯義務があるのは移動タンク貯蔵所により移送するときだけ

なぜ(5)が誤りか

免状の携帯義務は、消防法第16条の2第3項により、移動タンク貯蔵所(タンクローリー等)に乗車して危険物を移送しているときに限定されています。これは、走行中の車両を現場で検査・確認する機会が限られるため、その場で資格の有無を証明できるようにする趣旨です。

一方、製造所・貯蔵所・給油取扱所など、固定された施設内で通常の取扱作業に従事しているときには、免状を常時携帯する法令上の義務はありません。(5)はこの携帯義務の対象を正反対に述べており、誤りです。

まとめ

免状に関する手続きは、「交付は都道府県知事」「取扱範囲は乙種の場合は免状指定の種類のみ」「書換えは交付元または居住地・勤務地の知事」「再交付は交付または書換えをした知事のみ」という点で整理できます。携帯義務については、「移送時にだけ携帯が必要」であって、「移送時以外は常に携帯が必要」ではない点に注意しましょう。

参考文献