給油取扱所の基準を整理する
危険物の規制に関する政令第17条に基づき、給油取扱所の保安距離・専用タンク・空地・構造などの基準を整理します。
給油取扱所の基準は、製造所等の中でも市街地での設置を前提とした独自のルールが多く、他の施設の基準と混同されやすい分野です。今回は5つの記述から誤っているものを選ぶ設問を題材に、給油取扱所の基準を整理します。
例題
給油取扱所について、誤っているものはどれか
- 給油取扱所は、学校・病院から30m以上離して設置する必要はない
- 地下専用タンクを設けることができる
- 給油取扱所には、給油に支障があると認められる設備を設けないこと
- 灯油を容器に詰め替えるための固定注油設備を設ける場合は、詰め替え作業に必要な空地を給油空地内に保有すること
- 給油取扱所の事務所等で火気を使用する場合は、漏れた可燃性蒸気が内部に流入しない構造とすること
正解は (4) です。
給油取扱所の基準まとめ
給油取扱所の基準は、危険物の規制に関する政令第17条に定められています。主な項目をまとめると次のとおりです。
| 項目 | 基準の内容 |
|---|---|
| 保安距離 | 規定なし(学校・病院等から一定距離を離す必要はない) |
| 給油空地 | 固定給油設備のホース機器の周囲に、間口10m以上・奥行6m以上の空地を保有すること |
| 注油空地 | 灯油・軽油を容器やタンクに詰め替えるための固定注油設備を設ける場合、給油空地とは別の場所に確保すること |
| 専用タンク | 固定給油設備等に接続する専用タンクを地盤面下(地下)に埋設して設けることができる |
| 塀・壁 | 自動車等の出入りする側を除き、高さ2m以上の耐火構造又は不燃材料の塀・壁を設置 |
| 設けてはならない設備 | 給油に支障があると認められる設備を設けないこと |
| 建築物の用途 | 給油業務に関連する用途(事務所、点検整備場、洗浄場、飲食店・店舗・展示場等)に限定 |
| 事務所等の構造 | 事務所その他火気を使用する部分は、漏れた可燃性蒸気が内部に流入しない構造とすること |
各選択肢の検討
| 選択肢 | 内容 | 判定 |
|---|---|---|
| (1) | 給油取扱所は、学校・病院から30m以上離して設置する必要はない | ○ 正しい。給油取扱所には保安距離の規定がない |
| (2) | 地下専用タンクを設けることができる | ○ 正しい(政令第17条第1項第7号) |
| (3) | 給油取扱所には、給油に支障があると認められる設備を設けないこと | ○ 正しい(政令第17条第1項) |
| (4) | 灯油を容器に詰め替えるための固定注油設備を設ける場合は、詰め替え作業に必要な空地を給油空地内に保有すること | ✕ 誤り。正しくは給油空地以外の場所に保有する |
| (5) | 給油取扱所の事務所等で火気を使用する場合は、漏れた可燃性蒸気が内部に流入しない構造とすること | ○ 正しい(政令第17条第1項第18号) |
なぜ(4)が誤りか
政令第17条第1項第3号は、灯油・軽油の詰め替え用の固定注油設備を設ける場合、そのための空地(注油空地)を「給油空地以外の場所」に保有することを求めています。自動車等へのガソリン等の給油を行う「給油空地」と、灯油・軽油を容器やタンクに詰め替える「注油空地」は、目的も動線も異なるため、別々の空間として確保しなければなりません。同じ空地を共用させてしまうと、給油中の自動車と詰め替え作業を行う人・容器が交錯し、事故のリスクが高まります。
まとめ
給油取扱所の基準は、保安距離が不要な代わりに、給油空地・注油空地・塀や壁・事務所の構造といった施設内部の対策で安全性を確保する仕組みになっています。中でも「給油空地」と「注油空地」は目的の異なる別々の空間として確保する必要がある点を押さえておきましょう。
参考文献
- 危険物の規制に関する政令 | e-Gov法令検索(第17条第1項)