法令

「許可」「認可」「承認」「届出」の違いを整理する

用途廃止・予防規程・保安監督者の解任・位置構造設備の変更・譲渡引渡という手続きが、それぞれ許可・認可・承認・届出のどれに当たるかを消防法の条文から確認します。

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消防法上の手続きには「許可」「認可」「承認」「届出」の4種類があり、事由ごとにどれに当たるかを混同させる問題が頻出します。今回は5つの事由をまとめて問う設問を題材に、それぞれの手続きを条文から1つずつ確認します。

例題

消防法上の申請と届出について、誤っている組み合わせはどれか。

  1. 製造所等の用途を廃止したとき・・・承認申請
  2. 予防規定を定めたとき・・・認可申請
  3. 危険物保安監督者を解任したとき・・・届出
  4. 位置・構造・設備を変更するとき・・・変更許可申請
  5. 譲渡または引渡しがあったとき・・・届出

正解は (1) です。

根拠条文

5つの事由について、それぞれの条文を確認します。

事由条文の定め手続き
用途廃止用途を廃止したときは、遅滞なくその旨を市町村長等に届け出なければならない(第12条の6)届出
予防規程の制定・変更予防規程を定め、市町村長等の認可を受けなければならない。変更するときも同様(第14条の2第1項)認可
保安監督者の選任・解任定めたときは、遅滞なくその旨を市町村長等に届け出なければならない。解任したときも同様(第13条第2項)届出
位置・構造・設備の変更変更しようとする者も、設置と同様に市町村長等の許可を受けなければならない(第11条第1項)許可
譲渡・引渡地位を承継した者は、遅滞なくその旨を市町村長等に届け出なければならない(第11条第6項)届出

条文上、用途廃止に対応するのは「届出」であり、「承認申請」ではありません。したがって(1)が誤りです。

「承認」とはどんな手続きか

(1)に登場する「承認」は、消防法上まったく別の場面で使われる用語です。代表例が仮貯蔵・仮取扱いです。

指定数量以上の危険物は、貯蔵所以外の場所でこれを貯蔵し、又は製造所、貯蔵所及び取扱所以外の場所でこれを取り扱つてはならない。ただし、所轄消防長又は消防署長の承認を受けて指定数量以上の危険物を、十日以内の期間、仮に貯蔵し、又は取り扱う場合は、この限りでない。(第10条第1項)

このように「承認」は、本来禁止されている行為を一時的・例外的に認めてもらう場面(仮貯蔵・仮取扱い、仮使用など)で使われる手続きです。用途廃止は施設の使用をやめるという事後の事実を伝えるだけの行為であり、何かを一時的に認めてもらう場面ではないため、「承認」と組み合わせること自体が的外れです。

4つの手続きの違い

手続き性質代表例
許可本来自由にできない行為を、新たに認めてもらう製造所等の設置・位置構造設備の変更
認可当事者が定めた内容の効力を、行政に認めてもらう予防規程の制定・変更
承認本来禁止されている行為を、一時的・例外的に認めてもらう仮貯蔵・仮取扱い、仮使用
届出既に生じた事実や決定事項を、事後に知らせる用途廃止、保安監督者の選任・解任、譲渡・引渡、品名数量倍数の変更

許可と認可はどちらも事前に行政の判断を仰ぐ点で似ていますが、許可は「新たな行為そのものを認めてもらう」のに対し、認可は「自分たちで定めた予防規程という内容に効力を与えてもらう」という違いがあります。承認は許可・認可とは異なり、本来禁止されている行為を一時的にだけ解除してもらうもので、期間や場所が限定される点が特徴です。そして届出は、これらと違って行政の判断を待つ必要がなく、事実を伝えるだけで手続きが完了します。

選択肢の判定

選択肢記述内容判定
(1)用途廃止・・・承認申請✕ 正しくは「届出」
(2)予防規程・・・認可申請○ 正しい
(3)保安監督者の解任・・・届出○ 正しい
(4)位置・構造・設備の変更・・・変更許可申請○ 正しい
(5)譲渡または引渡し・・・届出○ 正しい

まとめ: 消防法上の手続きは「許可」「認可」「承認」「届出」の4種類に分かれ、事由ごとに対応する手続きが決まっています。用途廃止は既に起きた事実を知らせるだけの届出で足り、本来禁止された行為を一時的に認めてもらう承認とは性質が異なります。この違いを押さえておけば、5つの事由がどれだけ並んでも1つずつ機械的に判定できます。

参考文献