完成検査と完成検査前検査を整理する
消防法第11条・第11条の2に基づき、完成検査と完成検査前検査の違いと、屋外貯蔵タンクの検査対象となる容量基準を整理します。
完成検査と完成検査前検査は、実施のタイミングや対象となるタンクの容量基準が細かく規定されており、数値を入れ替えたひっかけが作られやすい分野です。今回は5つの記述から正しいものを選ぶ設問を題材に、両者の違いを整理します。
例題
完成検査ならびに完成検査前検査の説明として、次のうち正しいものはどれか。(屋外タンク貯蔵所の岩盤タンク、および特殊液体危険物タンクの場合を除く)
- 完成検査は、新たに製造所、貯蔵所または取扱所を設置する場合に限り受けるべき検査である。
- 完成検査前検査は、完成検査を受ける前に受けるべきこととされている。
- 完成検査前検査は、製造所、貯蔵所または取扱所の設置または変更の許可申請後であって、許可を受ける前に行う現地調査である。
- 最大貯蔵量が500kL以上の屋外貯蔵タンクについては、完成検査前検査として基礎・地盤検査および水圧検査または水張検査を受けなければならない。
- 最大貯蔵量が10000kL未満の液体の危険物を貯蔵する屋外貯蔵タンクにあっては、溶接部検査を受ける必要がない。
正解は (2) です。
完成検査とは(消防法第11条第5項)
完成検査は、製造所等の設置または位置・構造・設備の変更について許可を受けた者が、工事の完了後に受ける検査です。市町村長等がこの検査を行い、技術上の基準に適合していると認められて初めて、その施設を使用できるようになります。
ポイントは、完成検査が必要になるのは新設のときだけではないという点です。既存の施設の位置・構造・設備を変更する工事を行った場合にも、その工事の完了後にあらためて完成検査を受けなければなりません。
完成検査前検査とは(消防法第11条の2第1項)
完成検査前検査は、その名のとおり完成検査より前の段階で行う検査です。対象となる工事(液体危険物タンクの設置・変更工事など)について許可を受けた者は、工事が完了してから完成検査を受けるのではなく、工事の進行中、決められた工程のタイミングごとに、市町村長等の検査を受けなければなりません。
たとえば屋外貯蔵タンクであれば、「基礎・地盤の工事が終わった段階」「タンク本体に配管等を取り付ける前の段階」というように、後から見えなくなってしまう部分を、その都度チェックしていくイメージです。したがって、完成検査前検査は「許可申請後・許可を受ける前」に行われるものではなく、許可を受けた後、工事の各工程で実施されます。
完成検査前検査の対象と内容(政令第8条の2)
完成検査前検査の対象・内容は、政令第8条の2第3項に定められています(岩盤タンク・特殊液体危険物タンクを除く通常の屋外貯蔵タンクの場合)。
| 検査の種類 | 対象となるタンク | 内容 |
|---|---|---|
| 基礎・地盤検査 | 容量1,000キロリットル以上の屋外貯蔵タンク | 基礎及び地盤に関する基準への適合を確認 |
| 水張検査又は水圧検査 | 同上(1,000キロリットル以上) | タンク本体の漏れ・変形に関する基準への適合を確認 |
| 溶接部検査 | 同上(1,000キロリットル以上) | タンク本体の溶接部に関する基準への適合を確認 |
いずれも対象となる容量の基準は1,000キロリットル以上であり、500キロリットルや10,000キロリットルではありません。
各選択肢の検討
| 選択肢 | 内容 | 判定 |
|---|---|---|
| (1) | 完成検査は、新たに製造所等を設置する場合に限り受けるべき検査である | ✕ 誤り。位置・構造・設備の変更の場合にも完成検査が必要 |
| (2) | 完成検査前検査は、完成検査を受ける前に受けるべきこととされている | ○ 正しい |
| (3) | 完成検査前検査は、設置または変更の許可申請後であって許可を受ける前に行う現地調査である | ✕ 誤り。許可を受けた後、工事の各工程ごとに行われる検査である |
| (4) | 最大貯蔵量が500kL以上の屋外貯蔵タンクは基礎・地盤検査および水圧検査または水張検査を受けなければならない | ✕ 誤り。正しい基準は1,000kL以上 |
| (5) | 最大貯蔵量が10000kL未満の屋外貯蔵タンクは溶接部検査を受ける必要がない | ✕ 誤り。溶接部検査の対象基準も1,000kL以上であり、1,000kL以上10,000kL未満のタンクも溶接部検査が必要 |
まとめ
完成検査は新設・変更のいずれの場合にも必要で、完成検査前検査はその前段階として、許可を受けた後の工事の各工程ごとに行われます。基礎・地盤検査、水張検査又は水圧検査、溶接部検査の対象となる屋外貯蔵タンクの容量基準は、いずれも1,000キロリットル以上という同じ数値で統一されている点を押さえておきましょう。
参考文献
- 消防法 | e-Gov法令検索(第11条第5項、第11条の2)
- 危険物の規制に関する政令 | e-Gov法令検索(第8条の2)