移動タンク貯蔵所と運搬車両の標識の違いを整理する
危険物の規制に関する規則第17条・第47条に基づき、移動タンク貯蔵所の標識と、一般の運搬車両に掲げる標識の大きさの違いを整理します。
「危」の標識は、移動タンク貯蔵所(タンクローリー)と、指定数量以上の危険物を運搬する一般車両とで、根拠条文もサイズの定め方も異なります。今回は5つの記述から誤っているものを選ぶ設問を題材に、それぞれの標識の基準を整理します。
例題
標識について、次のうち誤っているものはどれか
- 移動タンク貯蔵所に掲げる標識の大きさは0.3m以上0.4m以下平方である。
- 危険物運搬車両につける「危」の標識の大きさは0.4mx0.4mである
- 製造所等(移動タンク貯蔵所を除く)に設ける標識には、製造所等の名称を記載すること
- 製造所等(移動タンク貯蔵所を除く)に設ける標識の色は、地を白色、文字を黒色とすること
- 危険物施設の「火気厳禁」の標識の大きさは0.3m以上x0.6m以上である。
正解は (2) です。運搬車両の標識の大きさは、固定の0.3m平方です。
根拠条文
移動タンク貯蔵所の標識(規則第17条第2項)
令第十五条第一項第十七号の規定による標識は、0.3メートル平方以上0.4メートル平方以下の地が黒色の板に黄色の反射塗料その他反射性を有する材料で「危」と表示したものとし、車両の前後の見やすい箇所に掲げなければならない。
一般の運搬車両の標識(規則第47条)
令第三十条第一項第二号の規定により、車両に掲げる標識は、0.3メートル平方の地が黒色の板に黄色の反射塗料その他反射性を有する材料で「危」と表示したものとし、車両の前後の見やすい箇所に掲げなければならない。
両者は同じ「黒地に黄色反射塗料で『危』」という見た目ですが、根拠条文とサイズの定め方が異なります。移動タンク貯蔵所は0.3m〜0.4mの範囲であるのに対し、指定数量以上の危険物を運搬する一般車両(移動タンク貯蔵所以外の、容器で危険物を積載する車両)は0.3m平方という固定値です。
製造所等(移動タンク貯蔵所を除く)の標識(規則第17条第1項)
一 標識は、幅0.3メートル以上、長さ0.6メートル以上の板であること。
二 標識の色は、地を白色、文字を黒色とすること。
掲示板(規則第18条)
掲示板は、幅0.3メートル以上、長さ0.6メートル以上の板であること。
「火気厳禁」等の注意事項を表示する掲示板も、通常の掲示板と同じ大きさの規定(幅0.3m以上、長さ0.6m以上)が適用されます。
各選択肢の検討
| 選択肢 | 内容 | 判定 |
|---|---|---|
| (1) | 移動タンク貯蔵所に掲げる標識の大きさは0.3m以上0.4m以下平方である | ○ 正しい(規則第17条第2項) |
| (2) | 危険物運搬車両につける「危」の標識の大きさは0.4m×0.4mである | ✕ 誤り。正しくは0.3m平方(固定) |
| (3) | 製造所等(移動タンク貯蔵所を除く)に設ける標識には、製造所等の名称を記載すること | ○ 正しい |
| (4) | 製造所等(移動タンク貯蔵所を除く)に設ける標識の色は、地を白色、文字を黒色とすること | ○ 正しい(規則第17条第1項第2号) |
| (5) | 危険物施設の「火気厳禁」の標識の大きさは0.3m以上×0.6m以上である | ○ 正しい(規則第18条第1項第1号) |
なぜ(2)が誤りか
一般の運搬車両(指定数量以上の危険物を容器に収納して運搬する車両)に掲げる「危」の標識は、規則第47条により0.3メートル平方と定められています。これは「以上」「以下」のない固定値です。
これに対し、移動タンク貯蔵所(タンクローリー)に掲げる標識は、規則第17条第2項により0.3メートル平方以上0.4メートル平方以下という範囲で定められています。同じ「危」の標識でも、根拠条文が異なれば規定のされ方(固定値か範囲か)も異なる点が、この設問の急所です。(2)の「0.4m×0.4m」は、どちらの基準にも一致しない誤った数値です。
標識・掲示板のサイズまとめ
| 対象 | 根拠条文 | 大きさ |
|---|---|---|
| 製造所等(移動タンク貯蔵所を除く)の標識 | 規則第17条第1項 | 幅0.3m以上・長さ0.6m以上 |
| 移動タンク貯蔵所の標識 | 規則第17条第2項 | 0.3m平方以上0.4m平方以下(範囲) |
| 一般の運搬車両の標識 | 規則第47条 | 0.3m平方(固定) |
| 掲示板(注意事項を含む) | 規則第18条第1項 | 幅0.3m以上・長さ0.6m以上 |
まとめ
「危」の標識は、移動タンク貯蔵所(0.3〜0.4mの範囲)と一般の運搬車両(0.3m平方の固定値)とで根拠条文と規定の仕方が異なります。似たような見た目の標識でも、対象によって条文上の数値の定め方(範囲か固定値か)が違う点を正確に区別しましょう。
参考文献
- 危険物の規制に関する規則 | e-Gov法令検索(第17条、第18条、第47条)