法令

保安距離が必要な施設・不要な施設を整理する

危険物の規制に関する政令に基づき、保安距離が必要な製造所等と、保安距離の規定がない製造所等を整理します。

読了 5分 中級
  • #保安距離
  • #給油取扱所
  • #製造所等

保安距離は、すべての製造所等に一律に課される基準ではありません。今回は5つの施設から保安距離を必要としないものを選ぶ設問を題材に、保安距離の対象施設を整理します。

例題

次の製造所等のうち、保安距離を必要としないものはどれか。

  1. 製造所
  2. 屋内貯蔵所
  3. 屋外タンク貯蔵所
  4. 給油取扱所
  5. 一般取扱所

正解は (4) です。給油取扱所には保安距離の規定がありません。

保安距離が必要な施設・不要な施設

保安距離(住居・学校・病院・文化財・高圧ガス施設等との間に一定の距離を確保する規定)は、危険物の規制に関する政令第9条第1項第1号(製造所の基準)を基本とし、多くの施設がこれを準用しています。

保安距離が必要保安距離が不要
製造所屋内タンク貯蔵所
屋内貯蔵所地下タンク貯蔵所
屋外タンク貯蔵所簡易タンク貯蔵所
屋外貯蔵所移動タンク貯蔵所
一般取扱所(原則)給油取扱所
第一種・第二種販売取扱所
移送取扱所

各選択肢の検討

選択肢施設保安距離判定
(1)製造所必要(政令第9条第1項第1号)保安距離あり
(2)屋内貯蔵所必要(政令第10条第1項第1号、製造所の例による)保安距離あり
(3)屋外タンク貯蔵所必要(政令第11条第1項第1号、製造所の例による)保安距離あり
(4)給油取扱所不要(政令第17条に保安距離の規定なし)保安距離なし
(5)一般取扱所必要(政令第19条、製造所の例による)保安距離あり

なぜ給油取扱所には保安距離が不要なのか

給油取扱所(ガソリンスタンド)は、その性質上、道路に面し、周辺に住宅や店舗が近接する市街地・沿道に設置されることが前提の施設です。もし製造所と同じように「住居から10m以上」「学校・病院から30m以上」といった保安距離を要求すると、都市部ではほとんど給油取扱所を設置できなくなってしまいます。

そのため給油取扱所は、周囲との距離を確保する代わりに、

  • 給油空地(間口10m以上・奥行6m以上)の保有
  • 周囲への高さ2m以上の耐火構造又は不燃材料の塀・壁の設置
  • 建築物の構造(壁・柱・床等の耐火構造化)

といった、施設内部・境界における構造的な対策によって安全性を確保する仕組みになっています。同様の理由で、販売取扱所(店舗内に設置)や屋内タンク貯蔵所(建物内に設置)なども保安距離の対象外です。

まとめ

保安距離が必要かどうかは、「危険物を屋外や独立した建物で大規模に扱う施設か」「市街地に密着せざるを得ない施設か」という観点で整理できます。製造所・屋内貯蔵所・屋外タンク貯蔵所・屋外貯蔵所・一般取扱所は保安距離が必要ですが、給油取扱所・販売取扱所・屋内タンク貯蔵所・地下タンク貯蔵所・簡易タンク貯蔵所・移動タンク貯蔵所・移送取扱所は、性質上、保安距離ではなく別の安全対策(空地・塀・構造基準等)で対応しています。

参考文献