法令

保安検査の対象・実施者を整理する

製造所等における保安検査(定期保安検査・臨時保安検査)の対象施設、実施時期、実施主体を整理します。

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  • #保安検査
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保安検査は、定期点検とは別の制度で、規模の大きい屋外タンク貯蔵所・移送取扱所だけを対象に行われる検査です。検査の対象・時期・実施主体など、制度の細部を問う設問が頻出です。今回は5つの記述から誤っているものを選ぶ設問を題材に、保安検査の制度を整理します。

例題

製造所等における保安検査について、次のうち誤っているものはどれか。

  1. 保安検査は、屋外タンク貯蔵所・移送取扱所のうち一定基準以上の規模の施設を対象に行われる。
  2. 保安検査には、定期保安検査と臨時保安検査がある。
  3. 保安検査を行う時期は、検査の対象となる施設の種類により異なる。
  4. 保安検査は、その対象となる施設の構造および設備に関する事項で政令で定めるものが、消防法第10条第4項の技術上の基準に従って維持されているかどうかについて行われる。
  5. 保安検査を行うのは、その対象となる施設の所有者・管理者または占有者である。

正解は (5) です。

根拠条文

保安検査の根拠は消防法第14条の3です。

政令で定める屋外タンク貯蔵所又は移送取扱所の所有者、管理者又は占有者は、政令で定める時期ごとに、当該屋外タンク貯蔵所又は移送取扱所に係る構造及び設備に関する事項で政令で定めるものが第十条第四項の技術上の基準に従つて維持されているかどうかについて、市町村長等が行う保安に関する検査を受けなければならない。(第1項)

政令で定める屋外タンク貯蔵所の所有者、管理者又は占有者は、当該屋外タンク貯蔵所について、不等沈下その他の政令で定める事由が生じた場合には、当該屋外タンク貯蔵所に係る構造及び設備に関する事項で政令で定めるものが第十条第四項の技術上の基準に従つて維持されているかどうかについて、市町村長等が行う保安に関する検査を受けなければならない。(第2項)

条文が区別しているのは、次の2つの立場です。

  • 保安検査を受ける義務を負う者:施設の所有者・管理者・占有者
  • 保安検査を行う者(実施主体):市町村長等

対象施設・時期・検査事項の詳細は、危険物の規制に関する政令第8条の4が定めています。

法第十四条の三第一項の政令で定める屋外タンク貯蔵所又は移送取扱所は、特定屋外タンク貯蔵所で、その貯蔵し、若しくは取り扱う液体の危険物の最大数量が一万キロリツトル以上のもの又は前条に規定する移送取扱所とする。(政令第8条の4第1項)

各選択肢の検討

選択肢内容判定
(1)屋外タンク貯蔵所・移送取扱所のうち一定基準以上の規模の施設が対象○ 正しい(政令第8条の4第1項)
(2)定期保安検査と臨時保安検査がある○ 正しい(消防法第14条の3第1項・第2項)
(3)検査の時期は施設の種類により異なる○ 正しい(政令第8条の4第2項。屋外タンク貯蔵所は原則8年ごと、移送取扱所は1年ごとなど)
(4)構造・設備に関する事項が消防法第10条第4項の基準に従って維持されているかを検査する○ 正しい(消防法第14条の3第1項)
(5)保安検査を行うのは施設の所有者・管理者又は占有者である✕ 誤り。保安検査を「行う」のは市町村長等であり、所有者等は検査を「受ける」義務を負う立場

なぜ(5)が誤りか

消防法第14条の3第1項・第2項はいずれも「市町村長等が行う保安に関する検査を受けなければならない」という構文になっています。つまり、

  • 検査を実施する主体(検査官)は市町村長等(消防長・消防署長や都道府県知事など、権限を有する行政庁)
  • 施設の所有者・管理者・占有者は、その検査を受検する義務を負うだけ

であり、両者は逆の立場です。(5)は「保安検査を行うのは所有者等である」としており、実施主体と受検義務者を入れ替えた誤った記述です。

定期保安検査と臨時保安検査の違い

政令第8条の4は、消防法第14条の3第1項に対応する定期保安検査と、第2項に対応する臨時保安検査を、同じ条文の中で書き分けています。

区分根拠内容
定期保安検査消防法第14条の3第1項
政令第8条の4第1項・第2項
対象:液体危険物の最大数量1万kl以上の特定屋外タンク貯蔵所、または政令第8条の3の移送取扱所(配管延長15km超、または最大常用圧力0.95MPa以上かつ配管延長7km以上15km以下)
時期:屋外タンク貯蔵所は原則8年ごと(保安措置等により10年・13年、腐食度に応じ8〜15年に延長可)、岩盤タンクは10年ごと、特殊液体危険物タンクは13年ごと、移送取扱所は1年ごと
臨時保安検査消防法第14条の3第2項
政令第8条の4第4項・第5項
対象:特定屋外タンク貯蔵所(液体危険物の最大数量1,000kl以上であれば足り、1万kl以上という上限側の限定はない)。移送取扱所には臨時保安検査の規定がない
時期:不等沈下(タンクの直径に対する不等沈下の数値の割合が100分の1以上)その他総務省令で定める事由が生じたとき

このように、定期保安検査は「規模基準に該当する施設が、決まった周期で受ける」検査であるのに対し、臨時保安検査は「(移送取扱所を除く)特定屋外タンク貯蔵所が、不等沈下などの事由が生じたときに受ける」検査です。対象施設の範囲も、定期保安検査(1万kl以上)より臨時保安検査(1,000kl以上)の方が広い点も押さえておきましょう。

まとめ

保安検査は、屋外タンク貯蔵所・移送取扱所のうち一定規模以上の施設を対象に、構造・設備が消防法第10条第4項の技術上の基準に適合しているかどうかを確認する検査で、定期保安検査と臨時保安検査の2種類があります。試験で狙われやすいのは、検査を「受ける」義務者(所有者・管理者・占有者)と、検査を「行う」実施主体(市町村長等)の取り違えです。「保安検査を行うのは所有者等」という記述を見たら、まず主体が逆になっていないかを疑いましょう。

参考文献