危険物保安監督者の選任が不要な施設を整理する
危険物の規制に関する政令第31条の2に基づき、危険物保安監督者の選任が不要となる製造所等の条件を整理します。
危険物保安監督者は、原則としてすべての製造所等に選任が必要ですが、施設の種類や規模、扱う危険物の引火点によっては選任が不要になる場合があります。今回は5つの施設から選任不要のものを選ぶ設問を題材に、条件を整理します。
例題
危険物保安監督者を選任しなくても良い製造所等は、次のうちどれか。
- 第1類危険物を貯蔵し、または取り扱う屋内貯蔵所。
- 引火点が40℃未満の第4類危険物を取り扱う第2種販売取扱所
- 引火点が40℃未満の第4類危険物を貯蔵し、または取り扱う屋内タンク貯蔵所
- 引火点が40℃未満の第4類危険物を、指定数量の30倍以下で貯蔵し、または取り扱う屋内貯蔵所。
- 引火点が40℃未満の第4類危険物を、指定数量の30倍以下で貯蔵し、または取り扱う屋外貯蔵所。
正解は (5) です。
根拠条文
危険物保安監督者の選任義務については、危険物の規制に関する政令第31条の2がこう定めています。
法第十三条第一項の政令で定める製造所、貯蔵所又は取扱所は、製造所等のうち次に掲げるもの以外のものとする。
一 屋内貯蔵所又は地下タンク貯蔵所で、指定数量の倍数が30以下のもの(引火点が40度以上の第四類の危険物のみを貯蔵し、又は取り扱うものに限る。) 二 引火点が40度以上の第四類の危険物のみを貯蔵し、又は取り扱う屋内タンク貯蔵所又は簡易タンク貯蔵所 三 移動タンク貯蔵所 四 指定数量の倍数が30以下の屋外貯蔵所 五 引火点が40度以上の第四類の危険物のみを取り扱う第一種販売取扱所又は第二種販売取扱所 六 指定数量の倍数が30以下の一般取扱所(引火点が40度以上の第四類の危険物のみを取り扱うものに限る。)でボイラー等の消費設備または容器詰め替えのもの
条文の構造上、この一号〜六号に該当する施設だけが例外的に選任不要で、それ以外の製造所等はすべて危険物保安監督者を選任しなければなりません。
各選択肢の検討
| 選択肢 | 施設 | 該当する号 | 選任は必要か |
|---|---|---|---|
| (1) | 第1類危険物の屋内貯蔵所 | 一号は第4類限定のため非該当 | 必要 |
| (2) | 引火点40℃未満・第4類の第2種販売取扱所 | 五号は引火点40℃以上限定のため非該当 | 必要 |
| (3) | 引火点40℃未満・第4類の屋内タンク貯蔵所 | 二号は引火点40℃以上限定のため非該当 | 必要 |
| (4) | 引火点40℃未満・第4類・30倍以下の屋内貯蔵所 | 一号は引火点40℃以上限定のため非該当 | 必要 |
| (5) | 引火点40℃未満・第4類・30倍以下の屋外貯蔵所 | 四号に該当 | 不要 |
なぜ(5)だけ選任不要か
一号・二号・五号・六号には、いずれも「引火点が40度以上の第四類の危険物のみ」という条件が付いています。つまり(2)(3)(4)のように引火点が40℃未満の危険物を扱う場合は、たとえ指定数量の倍数が少なくても、この条件を満たさず例外にはなりません。
ところが四号(屋外貯蔵所)だけは「指定数量の倍数が30以下」という条件しかなく、引火点や危険物の類についての制限が一切ありません。屋外貯蔵所は、屋根や壁がなく開放的な構造で危険物が滞留しにくいという性質上、扱う危険物の引火点を問わず、規模が小さければ(指定数量30倍以下)危険物保安監督者の選任が免除されています。
保安監督者選任対象施設まとめ
政令第31条の2の内容を、製造所等の種類・危険物の量・引火点の組み合わせで一覧にすると次のとおりです。
| 製造所等 | 第4類危険物 | 第4類以外の危険物 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 指定数量30倍以下 | 指定数量30倍超 | 指定数量30倍以下 | 指定数量30倍超 | |||
| 引火点40℃以上のみ | 引火点40℃未満を含む | 引火点40℃以上のみ | 引火点40℃未満を含む | |||
| 製造所 | すべて必要 | |||||
| 屋内貯蔵所 | 不要 | 必要 | 必要 | 必要 | 必要 | 必要 |
| 屋外タンク貯蔵所 | すべて必要 | |||||
| 屋内タンク貯蔵所 | 不要 | 必要 | 不要 | 必要 | 必要 | 必要 |
| 地下タンク貯蔵所 | 不要 | 必要 | 必要 | 必要 | 必要 | 必要 |
| 簡易タンク貯蔵所 | 不要 | 必要 | 不要 | 必要 | 必要 | 必要 |
| 移動タンク貯蔵所 | すべて不要 | |||||
| 屋外貯蔵所 | 不要 | 不要 | 必要 | 必要 | 不要 | 必要 |
| 給油取扱所 | すべて必要 | |||||
| 第一種・第二種販売取扱所 | 不要 | 必要 | 不要 | 必要 | 必要 | 必要 |
| 移送取扱所 | すべて必要 | |||||
| 一般取扱所(ボイラー等消費・容器詰替) | 不要 | 必要 | 必要 | 必要 | 必要 | 必要 |
| 一般取扱所(上記以外) | すべて必要 | |||||
※ 第一種販売取扱所は指定数量15倍以下、第二種販売取扱所は指定数量40倍以下に限られるため、「30倍超」欄は参考値です。
表からもわかるとおり、選任が不要になりうるのは屋内貯蔵所・屋外タンク貯蔵所を除くタンク貯蔵所・移動タンク貯蔵所・屋外貯蔵所・販売取扱所・一部の一般取扱所に限られ、製造所・屋外タンク貯蔵所・給油取扱所・移送取扱所は常に選任が必要です。また、移動タンク貯蔵所は常に選任不要、屋外貯蔵所は引火点を問わず量だけで判定という2つが、他の施設と性質が異なる例外です。
まとめ
危険物保安監督者の選任免除規定は、屋内貯蔵所・屋内タンク貯蔵所・簡易タンク貯蔵所・販売取扱所・一般取扱所については「引火点40℃以上の第4類危険物のみ」という条件付きですが、屋外貯蔵所だけは引火点を問わず指定数量の倍数30以下であれば免除されるという点が最大のひっかけです。「屋外貯蔵所は特別扱い」と覚えておくと、この種の設問に素早く対応できます。
参考文献
- 危険物の規制に関する政令 | e-Gov法令検索(第31条の2)