危険物保安監督者に関する正しい記述を数える
選任義務の例外、必要な実務経験の期間、丙種の可否、危険物施設保安員との関係など、危険物保安監督者にまつわる5つの記述の正誤を判定します。
危険物保安監督者に関する設問は、選任義務の例外・必要な実務経験の期間・資格の種類・危険物施設保安員との関係など、複数の論点が1問にまとめて出題されることがあります。今回は5つの記述から正しいものの数を答える設問を題材に、それぞれの論点を整理します。
例題
危険物保安監督者に関する説明として、次のうち正しいものはいくつあるか。
A 危険物保安監督者は、危険物の数量や指定数量の倍数に関わらず、全ての危険物施設で選任しなければならない
B 危険物保安監督者を選任する権限を有しているのは、製造所等の所有者・管理者または占有者である。
C 危険物保安監督者は、甲種または乙種危険物取扱者で、かつ1年以上の実務経験が必要とされている。
D 丙種危険物取扱者も、危険物保安監督者に選任される資格がある。
E 危険物保安監督者は、危険物施設保安員の指示に従って保安の監督をしなければならない。
- 1つ
- 2つ
- 3つ
- 4つ
- 5つ
正解は (1) 1つ です。正しいのはBだけです。
各記述の検討
A:誤り
危険物保安監督者の選任義務には、政令第31条の2が定める例外(選任不要な施設)があります。たとえば、引火点40℃以上の第4類危険物のみを扱う指定数量30倍以下の屋内貯蔵所・地下タンク貯蔵所、指定数量30倍以下の屋外貯蔵所(引火点を問わない)、移動タンク貯蔵所などは選任不要とされています。「すべての施設で選任が必要」というのは誤りです。
B:正しい
消防法第13条第1項は次のように定めています。
政令で定める製造所、貯蔵所又は取扱所の所有者、管理者又は占有者は、甲種危険物取扱者又は乙種危険物取扱者で、6月以上危険物取扱いの実務経験を有するもののうちから危険物保安監督者を定め(…)なければならない。
選任する主体は施設の所有者・管理者・占有者であり、正しい記述です。
C:誤り
条文(前掲)のとおり、必要な実務経験は「6か月以上」であり、「1年以上」ではありません。資格の種類(甲種・乙種)の部分は正しいものの、期間が誤っています。
D:誤り
消防法第13条第1項が明記するとおり、危険物保安監督者になれるのは甲種危険物取扱者または乙種危険物取扱者に限られます。丙種危険物取扱者は対象に含まれていません。
E:誤り
両者の関係が逆です。危険物の規制に関する規則第59条は、危険物施設保安員の業務として「製造所等の構造及び設備に異常を発見した場合は、危険物保安監督者その他関係のある者に連絡するとともに状況を判断して適当な措置を講ずること」「火災発生時等は危険物保安監督者と協力して応急の措置を講ずること」と定めています。また規則第48条は、危険物保安監督者の業務として「危険物施設保安員に対し必要な指示を与える」ことを定めています。つまり施設保安員は保安監督者に連絡・協力し、指示を受ける立場であり、保安監督者が施設保安員の指示に従うわけではありません。
選任義務・資格要件のまとめ
| 論点 | 内容 |
|---|---|
| 選任権限 | 製造所等の所有者・管理者又は占有者が選任する |
| 選任義務の例外 | 引火点40℃以上の第4類危険物のみを扱う指定数量30倍以下の一部施設、指定数量30倍以下の屋外貯蔵所、移動タンク貯蔵所などは選任不要 |
| 必要な免状 | 甲種危険物取扱者又は乙種危険物取扱者(丙種は不可) |
| 必要な実務経験 | 6か月以上 |
| 危険物施設保安員との関係 | 保安監督者が施設保安員に指示を与える。施設保安員は異常発見時に保安監督者へ連絡し、協力する側 |
まとめ
危険物保安監督者は、製造所等の所有者・管理者又は占有者が、甲種又は乙種の危険物取扱者(丙種は対象外)のうち6か月以上の実務経験を持つ者から選任します。ただし指定数量の少ない一部の施設や移動タンク貯蔵所などは選任自体が不要です。また、危険物施設保安員が置かれている製造所等では、指示を与えるのは保安監督者側であり、施設保安員は異常発見時に保安監督者へ連絡・協力する立場にあります。
参考文献
- 消防法 | e-Gov法令検索(第13条第1項、第14条)
- 危険物の規制に関する政令 | e-Gov法令検索(第31条の2)
- 危険物の規制に関する規則 | e-Gov法令検索(第48条、第59条)