危険物保安監督者の業務を整理する
危険物の規制に関する規則第48条に基づき、危険物保安監督者の業務の範囲と、施設の所有者等の義務との違いを整理します。
危険物保安監督者の業務を問う設問では、施設の所有者等が負う義務と混同させる選択肢が紛れ込むことがあります。今回は5つの記述から誤っているものを選ぶ設問を題材に、業務の範囲を整理します。
例題
危険物保安監督者の業務について、次のうち誤っているものはどれか。
- 危険物の取扱作業について、必要な指示を与える。
- 危険物施設保安員に対し、必要な指示を与える。
- 予防規定を作成し、市町村長等の認可を受ける。
- 災害発生時に応急の措置を講じ、直ちに消防機関等に連絡する。
- 災害の防止に関して、隣接する製造所等の関係者と連絡をとりあう。
正解は (3) です。
選択肢の判定
| 選択肢 | 内容 | 判定 |
|---|---|---|
| (1) | 危険物の取扱作業について、必要な指示を与える | ○ 正しい(規則第48条一号) |
| (2) | 危険物施設保安員に対し、必要な指示を与える | ○ 正しい(規則第48条三号) |
| (3) | 予防規定を作成し、市町村長等の認可を受ける | ✕ これは所有者等の義務であり、保安監督者の業務ではない |
| (4) | 災害発生時に応急の措置を講じ、直ちに消防機関等に連絡する | ○ 正しい(規則第48条二号) |
| (5) | 災害の防止に関して、隣接する製造所等の関係者と連絡をとりあう | ○ 正しい(規則第48条四号) |
危険物保安監督者の業務(根拠条文)
危険物保安監督者の業務は、危険物の規制に関する規則第48条に列挙されています。まとめると次のとおりです。
- 危険物の取扱作業の実施に際し、作業者(立ち会う危険物取扱者を含む)に対し必要な指示を与える
- 火災等の災害が発生した場合、作業者を指揮して応急の措置を講じ、直ちに消防機関等に連絡する
- 危険物施設保安員を置く製造所等では危険物施設保安員に必要な指示を行い、置かない製造所等では保安員が行うべき業務を自ら行う
- 火災等の災害の防止に関し、隣接する製造所等その他関連する施設の関係者との間に連絡を保つ
- 前各号のほか、危険物の取扱作業の保安に関し必要な監督業務を行う
なぜ(3)が誤りか
予防規程の作成・認可については、消防法第14条の2第1項が別に定めています。
政令で定める製造所、貯蔵所又は取扱所の所有者、管理者又は占有者は、…予防規程を定め、市町村長等の認可を受けなければならない。
つまり予防規程を作成し、市町村長等の認可を受ける義務があるのは製造所等の所有者・管理者・占有者(施設の設置者側)であって、危険物保安監督者ではありません。危険物保安監督者はあくまで「現場での作業の監督・指示」を担う立場であり、施設全体の予防規程を制定する権限や義務は持っていません。
まとめ
危険物保安監督者の業務は、規則第48条が定める「作業への指示」「災害時の応急措置・連絡」「保安員への指示」「隣接施設との連絡」「その他の監督業務」の5つに限られます。予防規程の作成・認可は、これとは別に施設の所有者等に課された義務であり、「保安監督者の業務」と「所有者等の義務」を混同させる点がこの設問のひっかけどころです。
参考文献
- 消防法 | e-Gov法令検索(第14条の2第1項)
- 危険物の規制に関する規則 | e-Gov法令検索(第48条)