法令

ガソリンを貯蔵できない貯蔵所はどれ?

貯蔵所は7種類あるが、政令の条文の書きぶりには実は違いがあります。条文を比較しながら、ガソリンを貯蔵できない貯蔵所を探ります。

読了 5分 中級
  • #貯蔵所
  • #屋外貯蔵所
  • #引火点

貯蔵所には7つの種類がありますが、実は扱える危険物の種類そのものに制限がある貯蔵所は1つだけです。今回はガソリンを題材に、その理由を条文から確認します。

例題

次のうち、ガソリンを貯蔵することができない貯蔵所はどれか。

  1. 屋外タンク貯蔵所
  2. 屋外貯蔵所
  3. 屋内タンク貯蔵所
  4. 地下タンク貯蔵所
  5. 屋内貯蔵所

正解は (2) です。

根拠条文

貯蔵所の種類は、危険物の規制に関する政令第2条で次の7つに区分されています。

貯蔵所政令第2条の規定
屋内貯蔵所屋内の場所において危険物を貯蔵し、又は取り扱う貯蔵所(第1号)
屋外タンク貯蔵所屋外にあるタンクにおいて危険物を貯蔵し、又は取り扱う貯蔵所(第2号)
屋内タンク貯蔵所屋内にあるタンクにおいて危険物を貯蔵し、又は取り扱う貯蔵所(第3号)
地下タンク貯蔵所地盤面下に埋没されているタンクにおいて危険物を貯蔵し、又は取り扱う貯蔵所(第4号)
簡易タンク貯蔵所簡易タンクにおいて危険物を貯蔵し、又は取り扱う貯蔵所(第5号)
移動タンク貯蔵所車両に固定されたタンクにおいて危険物を貯蔵し、又は取り扱う貯蔵所(第6号)
屋外貯蔵所屋外の場所において第2類の危険物のうち硫黄、硫黄のみを含有するもの若しくは引火性固体(引火点0℃以上)、又は第4類の危険物のうち第一石油類(引火点0℃以上)、アルコール類、第二石油類、第三石油類、第四石油類若しくは動植物油類を貯蔵し、又は取り扱う貯蔵所(第7号)

見比べると分かるとおり、屋内貯蔵所・各種タンク貯蔵所(第1号〜第6号)は「危険物を貯蔵し、又は取り扱う」としか書かれておらず、扱える危険物の種類に制限はありません。ところが屋外貯蔵所(第7号)だけは、条文の中でカッコ書きにより貯蔵できる危険物の種類が細かく限定されています。

なぜ屋外貯蔵所だけ制限があるのか

屋外貯蔵所は、タンクを使わず屋外の露天で容器のまま危険物を貯蔵・取り扱う施設です。屋根や壁で囲われていないため、気化した可燃性蒸気が周囲に拡散しやすく、日光や外気温の影響も直接受けます。そのため、常温でも引火しやすい(=引火点が低い)危険物を屋外に置くと、着火源との接触や蒸気の滞留によって火災の危険が著しく高まります。

そこで政令は、屋外貯蔵所で貯蔵・取扱いができる危険物を、次のように引火点が比較的高いものに絞り込んでいます。

  • 第2類:硫黄、硫黄のみを含有するもの、引火性固体(引火点0℃以上のもの)
  • 第4類:第一石油類(引火点0℃以上のもの)、アルコール類、第二石油類、第三石油類、第四石油類、動植物油類

ガソリンが対象外である理由

ガソリンは第4類・第一石油類に分類される危険物ですが、引火点は約-40℃、屋外貯蔵所の要件である「引火点0℃以上」を満たしません。同じ第一石油類でも、引火点が0℃以上か未満かで屋外貯蔵所に置けるかどうかが分かれる点に注意が必要です。

一方、屋内貯蔵所や各種タンク貯蔵所は、屋根・壁や密閉されたタンクによって蒸気の拡散や着火源との接触を抑えられる構造のため、引火点による制限を設けず、ガソリンのような引火点の低い危険物でも貯蔵が認められています。

選択肢の判定

選択肢貯蔵所ガソリンの貯蔵
(1)屋外タンク貯蔵所○ 制限なし
(2)屋外貯蔵所✕ 引火点0℃以上のものに限定されるため不可
(3)屋内タンク貯蔵所○ 制限なし
(4)地下タンク貯蔵所○ 制限なし
(5)屋内貯蔵所○ 制限なし

まとめ: 貯蔵所7種類のうち、扱える危険物の種類そのものに制限があるのは屋外貯蔵所だけです。露天で危険物を貯蔵する構造上、引火点が低い危険物(ガソリンなど)は対象外とされています。「屋外貯蔵所=引火点の高いものに限定」とセットで覚えておきましょう。

参考文献