第4類危険物の引火点を比較して見分ける
トルエン・ジエチルエーテル・ガソリン・アセトンなど、引火点が0℃以下のものだけを見分ける方法を整理します。
第4類危険物は品名によって引火点のおおよその範囲が決まりますが、同じ品名の中でも物質ごとに数値が異なるため、品名だけで機械的に判断すると失点します。今回は引火点0℃以下のものだけを見分ける設問を題材に、判定のポイントを整理します。
例題
次の危険物のうち、引火点が0℃以下のもののみの組み合わせはどれか。
A トルエン B ジエチルエーテル C ピリジン D 酢酸 E ガソリン F エチルアルコール G ニトロベンゼン H アセトン
- A、C、G
- A、D、F
- B、E、G
- B、E、H
- B、C、G
正解は (4) です。
各物質の判定
| 記号 | 物質 | 引火点(目安) |
|---|---|---|
| A | トルエン | 約4℃ |
| B | ジエチルエーテル | 約−45℃ |
| C | ピリジン | 約20℃ |
| D | 酢酸 | 約39℃ |
| E | ガソリン | −40℃以下 |
| F | エチルアルコール | 約13℃ |
| G | ニトロベンゼン | 約88℃ |
| H | アセトン | 約−20℃ |
赤字は引火点が0℃以下の物質
判定のポイント
引火点が0℃以下という条件を満たすのは、第4類の中でも特に引火しやすい特殊引火物(ジエチルエーテル)と、第一石油類の一部(ガソリン・アセトン)です。一方、同じ第一石油類でもトルエン(約4℃)は0℃をわずかに超えており対象外、アルコール類のエチルアルコール(約13℃)や、引火点の高いピリジン(約20℃)・酢酸(約39℃)・ニトロベンゼン(約88℃)も対象外です。
品名で機械的に判断せず、同じ品名内でも物質ごとに引火点の数値が異なる点(特にガソリン・アセトンは0℃以下だが、同じ第一石油類のトルエン・ピリジンは0℃超)に注意が必要です。
選択肢の判定
| 選択肢 | 組み合わせ | 判定 |
|---|---|---|
| (1) | A、C、G(トルエン・ピリジン・ニトロベンゼン) | ✕ いずれも0℃超 |
| (2) | A、D、F(トルエン・酢酸・エチルアルコール) | ✕ いずれも0℃超 |
| (3) | B、E、G(ジエチルエーテル・ガソリン・ニトロベンゼン) | ✕ Gが0℃超 |
| (4) | B、E、H(ジエチルエーテル・ガソリン・アセトン) | ○ すべて0℃以下 |
| (5) | B、C、G(ジエチルエーテル・ピリジン・ニトロベンゼン) | ✕ C・Gが0℃超 |
第4類危険物の主な物品の性状一覧
判定の際に参照した物質を含め、第4類の代表的な物品の水溶性・比重・引火点をまとめると次のとおりです。
| 品名 | 物品 | 水溶性 | 比重 | 引火点 |
|---|---|---|---|---|
| 特殊引火物 | ジエチルエーテル | × | 約0.71 | 約−45℃ |
| 二硫化炭素 | × | 約1.26 | 約−30℃ | |
| アセトアルデヒド | ◎ | 約0.78 | 約−39℃ | |
| 酸化プロピレン | ◎ | 約0.83 | 約−37℃ | |
| 第一石油類 | ガソリン | × | 約0.65〜0.75 | −40℃以下 |
| ベンゼン | × | 約0.88 | 約−11℃ | |
| トルエン | × | 約0.87 | 約4℃ | |
| アセトン | ◎ | 約0.79 | 約−20℃ | |
| メチルエチルケトン | × | 約0.80 | 約−9℃ | |
| 酢酸エチル | × | 約0.90 | 約−4℃ | |
| ピリジン | ◎ | 約0.98 | 約20℃ | |
| アルコール類 | メチルアルコール | ◎ | 約0.80 | 約11℃ |
| エチルアルコール | ◎ | 約0.80 | 約13℃ | |
| 第二石油類 | 灯油 | × | 約0.80 | 40〜60℃ |
| 軽油 | × | 約0.85 | 45℃以上 | |
| クロロベンゼン | × | 約1.11 | 約27℃ | |
| 酢酸 | ◎ | 約1.05 | 約39℃ | |
| 第三石油類 | 重油 | × | 約0.90〜1.00 | 60〜150℃ |
| アニリン | × | 約1.01 | 約70℃ | |
| ニトロベンゼン | × | 約1.20 | 約88℃ | |
| エチレングリコール | ◎ | 約1.11 | 約111℃ | |
| グリセリン | ◎ | 約1.26 | 約199℃ | |
| 第四石油類 | ギヤー油 | × | 約0.90 | 200℃以上 |
| シリンダー油 | × | 約0.95 | 約250℃ | |
| タービン油 | × | 約0.88 | 200〜270℃ | |
| 動植物油類 | なたね油 | × | 約0.90 | 250℃未満 |
◎:水溶性液体 ×:非水溶性液体(消防法上の指定数量の区分による)
まとめ
引火点が0℃以下になり得るのは、特殊引火物と第一石油類の一部だけです。アルコール類以降の品名は定義上、引火点が必ず0℃を超えます。まずこの大枠を押さえたうえで、同じ第一石油類の中でも0℃を境に分かれる物質がある(ガソリン・アセトンは0℃以下、トルエン・ピリジンは0℃超)という点に注意すれば、この設問は正確に判定できます。
裏技:品名だけで選択肢を絞り込む
個々の物質の引火点を覚えていなくても、品名の定義さえ知っていれば選択肢を絞り込めます。
- 特殊引火物(ジエチルエーテル=B)は、定義上「引火点−20℃以下で沸点40℃以下」または「発火点100℃以下」の物質です。つまり特殊引火物の引火点は必ず0℃を大きく下回ります。Bを含まない(1)(2)は、この時点で除外できます。
- 第三石油類(ニトロベンゼン=G)は、定義上「引火点70℃以上200℃未満」の物質です。つまり第三石油類の引火点が0℃以下になることは絶対にありません。Gを含む(3)(5)は、この時点で除外できます。
残るのは (4) だけです。個々の数値を暗記していなくても、「特殊引火物は必ず該当する」「第三石油類は絶対に該当しない」という品名の定義だけで正解にたどり着けます。