第3石油類の性状を整理する
重油・クレオソート油・グリセリンなど、第3石油類に共通する性状を整理します。
第3石油類は、重油やクレオソート油のような非水溶性の物質と、グリセリンやエチレングリコールのような水溶性の物質が混在する品名です。今回は5つの記述から誤っているものを選ぶ設問を題材に、第3石油類に共通する性状を整理します。
例題
第3石油類について、次のうち誤っているものはどれか。
- 重油、クレオソート油などが該当する。
- 常温(20℃)で固体のものもある。
- 引火点が70℃以上200℃未満の液体である。
- 水溶性のものとしては、グリセリンなどがある。
- 水よりも重い物がある。
正解は (2) です。第3石油類に分類される物質は、いずれも常温(20℃)で液体です。
第3石油類の定義
第3石油類は、消防法別表第一の備考でこう定義されています。
第三石油類とは、重油、クレオソート油その他1気圧において引火点が70度以上200度未満のもの(可燃性液体量が40重量パーセント以下のものを除く。)をいう。
代表的な物品には、重油・クレオソート油(非水溶性)、アニリン・ニトロベンゼン(非水溶性)、エチレングリコール・グリセリン(水溶性)などがあり、いずれも常温(20℃)では液体です。
第4類危険物の主な物品の性状一覧
品名ごとの代表的な物品について、水溶性・比重・引火点をまとめると次のとおりです。
| 品名 | 物品 | 水溶性 | 比重 | 引火点 |
|---|---|---|---|---|
| 特殊引火物 | ジエチルエーテル | × | 約0.71 | 約−45℃ |
| 二硫化炭素 | × | 約1.26 | 約−30℃ | |
| アセトアルデヒド | ◎ | 約0.78 | 約−39℃ | |
| 酸化プロピレン | ◎ | 約0.83 | 約−37℃ | |
| 第一石油類 | ガソリン | × | 約0.65〜0.75 | −40℃以下 |
| ベンゼン | × | 約0.88 | 約−11℃ | |
| トルエン | × | 約0.87 | 約4℃ | |
| アセトン | ◎ | 約0.79 | 約−20℃ | |
| メチルエチルケトン | × | 約0.80 | 約−9℃ | |
| 酢酸エチル | × | 約0.90 | 約−4℃ | |
| ピリジン | ◎ | 約0.98 | 約20℃ | |
| アルコール類 | メチルアルコール | ◎ | 約0.80 | 約11℃ |
| エチルアルコール | ◎ | 約0.80 | 約13℃ | |
| 第二石油類 | 灯油 | × | 約0.80 | 40〜60℃ |
| 軽油 | × | 約0.85 | 45℃以上 | |
| クロロベンゼン | × | 約1.11 | 約27℃ | |
| 酢酸 | ◎ | 約1.05 | 約39℃ | |
| 第三石油類 | 重油 | × | 約0.90〜1.00 | 60〜150℃ |
| アニリン | × | 約1.01 | 約70℃ | |
| ニトロベンゼン | × | 約1.20 | 約88℃ | |
| エチレングリコール | ◎ | 約1.11 | 約111℃ | |
| グリセリン | ◎ | 約1.26 | 約199℃ | |
| 第四石油類 | ギヤー油 | × | 約0.90 | 200℃以上 |
| シリンダー油 | × | 約0.95 | 約250℃ | |
| タービン油 | × | 約0.88 | 200〜270℃ | |
| 動植物油類 | なたね油 | × | 約0.90 | 250℃未満 |
◎:水溶性液体 ×:非水溶性液体(消防法上の指定数量の区分による)
各選択肢の検討
| 選択肢 | 内容 | 判定 |
|---|---|---|
| (1) | 重油、クレオソート油などが該当する | ○ 正しい。定義に明記された代表的な物品 |
| (2) | 常温(20℃)で固体のものもある | ✕ 誤り。第3石油類はすべて常温で液体 |
| (3) | 引火点が70℃以上200℃未満の液体である | ○ 正しい。定義そのもの |
| (4) | 水溶性のものとしては、グリセリンなどがある | ○ 正しい。グリセリン・エチレングリコールが該当 |
| (5) | 水よりも重い物がある | ○ 正しい。グリセリンやクレオソート油は比重1より大きい |
なぜ(2)が誤りか
第3石油類として例示される物質(重油、クレオソート油、アニリン、ニトロベンゼン、エチレングリコール、グリセリンなど)は、いずれも常温(20℃)で液体として存在します。「常温で固体のものもある」という性質は、第3石油類ではなく、動植物油類(牛脂など、低温で固化するものがある)や第四石油類(グリース状で粘度の高いものがある)の特徴です。
まとめ
第3石油類は「引火点70℃以上200℃未満」「重油・クレオソート油(非水溶性)、グリセリン・エチレングリコール(水溶性)が代表例」「常温では液体」という点で整理できます。「常温で固体のものもある」という記述が出てきたら、それは第3石油類ではなく動植物油類・第四石油類の特徴と混同していないか確認しましょう。
参考文献
- 消防法 | e-Gov法令検索(別表第一)