消火剤の種類と適応火災を整理する
水・強化液・泡・二酸化炭素・ハロゲン化物・粉末など、消火剤ごとの主な消火効果と適応する火災の種類を一覧にして整理します。
消火剤は種類によって「なぜ消えるのか(消火効果)」と「どの火災に使えるか(適応範囲)」が異なります。今回は5つの記述をまとめて問う設問を題材に、代表的な消火剤の効果と適応関係を整理します。
例題
消火剤について、次のうち誤っているものはどれか。
- 一塩化一臭化二フッ化メタン消火剤は、化学的負触媒作用による消火効果が大きい。
- 水は気化熱と比熱がともに大きいため、冷却効果が大きい。
- リン酸塩類を主成分とする消火粉末は、油火災及び電気火災に適応するが、普通火災には適応しない。
- 二酸化炭素は、空気より重いので窒息効果が大きく、第4類危険物の火災に効果的な消火剤である。
- 強化液は炭酸カリウム等の水溶液であるが、これを霧状にして放射する場合は、電気火災にも適用する。
正解は (3) です。
消火剤ごとの効果と適応火災
火災はA(普通)・B(油)・C(電気)の3種類に分けられます。消火剤ごとの主な効果と適応範囲をまとめると、次のとおりです。
| 消火剤 | 主な消火効果 | A普通 | B油 | C電気 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 水(棒状) | 冷却 | ○ | × | × | 感電のおそれ |
| 水(霧状) | 冷却 | ○ | × | ○ | 霧状は絶縁性を保てる |
| 強化液(棒状) | 冷却・抑制 | ○ | × | × | 炭酸カリウム等の水溶液 |
| 強化液(霧状) | 冷却・抑制 | ○ | ○ | ○ | 3種の火災すべてに適応 |
| 泡 | 窒息・冷却 | ○ | ○ | × | 水分を含み感電のおそれ |
| 二酸化炭素 | 窒息 | × | ○ | ○ | 空気より重く汚損が少ない |
| ハロゲン化物 | 負触媒(抑制) | × | ○ | ○ | 燃焼の連鎖反応を化学的に抑制 |
| 粉末(りん酸塩類等) | 抑制・窒息 | ○ | ○ | ○ | いわゆるABC粉末 |
| 粉末(炭酸水素塩類等) | 抑制・窒息 | × | ○ | ○ | いわゆるBC粉末 |
| 乾燥砂・膨張ひる石等 | 窒息 | ○ | ○ | ○ | すべての危険物に適応 |
(3)がなぜ誤りか
りん酸塩類を主成分とする消火粉末(いわゆるABC粉末)は、普通火災・油火災・電気火災のすべてに適応することが最大の特徴です(だからこそ「ABC粉末消火器」と呼ばれます)。したがって(3)の「普通火災には適応しない」という記述は誤りです。
選択肢の判定
| 選択肢 | 記述内容 | 判定 |
|---|---|---|
| (1) | ハロゲン化物消火剤は負触媒作用による消火効果が大きい | ○ 正しい |
| (2) | 水は気化熱と比熱がともに大きく、冷却効果が大きい | ○ 正しい |
| (3) | りん酸塩類主成分の消火粉末は普通火災には適応しない | ✕ 普通火災にも適応する |
| (4) | 二酸化炭素は空気より重く窒息効果が大きい。第4類の火災に効果的 | ○ 正しい |
| (5) | 強化液は霧状放射なら電気火災にも適用する | ○ 正しい |
まとめ
消火剤を覚えるときは、「冷却(水・強化液)」「窒息(泡・二酸化炭素・粉末)」「抑制/負触媒(ハロゲン化物・粉末)」という効果の違いと、A・B・Cどの火災に適応するかをセットで整理しましょう。