第4類危険物の消火方法を整理する
ガソリン・軽油・重油・動植物油類など、第4類危険物の火災にどの消火剤が適応するかを、消火剤ごとの効果と適応表から確認します。
第4類危険物(引火性液体)の火災には、消火剤の種類だけでなく「放射方法」によって適応が変わるものがあります。今回は5つの品目と消火剤の組み合わせを問う設問を題材に、消火方法の適否を整理します。
例題
第4類危険物の消火法として、適当でないものはどれか。
- ガソリンの火災に、粉末消火剤を使用する。
- 軽油の火災に、泡消火剤を使用する。
- 重油の火災に、棒状の強化液消火剤を使用する。
- 動植物油類の火災に、二酸化炭素消火剤を使用する。
- 潤滑油の火災に、ハロゲン化物消火剤を使用する。
正解は (3) です。
第4類危険物はまとめて「油火災」として扱ってよい
ガソリン(第一石油類)・軽油(第二石油類)・重油(第三石油類)・潤滑油(第四石油類)・動植物油類は、いずれも第4類危険物です。危険物の規制に関する政令別表第五の消火設備適応表では、第1類や第2類は品目ごとに列が細かく分かれていますが、「第四類の危険物」は品目を問わず1つの列にまとめられています。つまり消火設備が適応するかどうかを判断するうえで、第4類の中のどの石油類かを区別する必要はなく、すべて「油火災」として一律に扱ってよいということです。
この設問も、品目によって適応する消火設備が変わるかを問うているのではなく、消火剤側(粉末・泡・強化液・二酸化炭素・ハロゲン化物)の種類や放射方法による適応の違いを問う設問です。
消火剤ごとの効果と適応火災
火災はA(普通)・B(油)・C(電気)の3種類に分けられます。消火剤ごとの主な効果と適応範囲をまとめると、次のとおりです。
| 消火剤 | 主な消火効果 | A普通 | B油 | C電気 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 水(棒状) | 冷却 | ○ | × | × | 感電のおそれ |
| 水(霧状) | 冷却 | ○ | × | ○ | 霧状は絶縁性を保てる |
| 強化液(棒状) | 冷却・抑制 | ○ | × | × | 炭酸カリウム等の水溶液 |
| 強化液(霧状) | 冷却・抑制 | ○ | ○ | ○ | 3種の火災すべてに適応 |
| 泡 | 窒息・冷却 | ○ | ○ | × | 水分を含み感電のおそれ |
| 二酸化炭素 | 窒息 | × | ○ | ○ | 空気より重く汚損が少ない |
| ハロゲン化物 | 負触媒(抑制) | × | ○ | ○ | 燃焼の連鎖反応を化学的に抑制 |
| 粉末(りん酸塩類等) | 抑制・窒息 | ○ | ○ | ○ | いわゆるABC粉末 |
| 粉末(炭酸水素塩類等) | 抑制・窒息 | × | ○ | ○ | いわゆるBC粉末 |
| 乾燥砂・膨張ひる石等 | 窒息 | ○ | ○ | ○ | すべての危険物に適応 |
「B油」の列を見ると、粉末(いずれの種類も)・泡・二酸化炭素・ハロゲン化物・霧状の強化液は油火災に適応しますが、棒状の強化液だけは適応しません。
(3)がなぜ不適当か
強化液消火剤(炭酸カリウム等の水溶液)は、放射方法によって適応する火災が変わります。棒状放射は水と同じように、勢いよく油面に当たると燃えている油が飛び散って火災が拡大するおそれがあるため、油火災には不適です。一方、霧状に放射すると油面を覆うように広がり、冷却効果と抑制効果によって油火災にも有効に働きます。
(3)は「重油の火災に、棒状の強化液消火剤を使用する」としていますが、重油は第4類危険物であり、棒状の強化液はこの火災に適応しません。したがって(3)は不適当です。
選択肢の判定
| 選択肢 | 記述内容 | 判定 |
|---|---|---|
| (1) | ガソリンの火災に粉末消火剤を使用する | ○ 適当 |
| (2) | 軽油の火災に泡消火剤を使用する | ○ 適当 |
| (3) | 重油の火災に棒状の強化液消火剤を使用する | ✕ 棒状放射は油火災に不適応(霧状なら適応) |
| (4) | 動植物油類の火災に二酸化炭素消火剤を使用する | ○ 適当 |
| (5) | 潤滑油の火災にハロゲン化物消火剤を使用する | ○ 適当 |
まとめ
第4類危険物は品目を問わず「油火災」として一律に扱ってよく、消火設備の適応も消火剤側の性質だけで判断できます。強化液消火剤は「棒状=水に近い性質(油火災・電気火災に不適)」「霧状=油火災にも電気火災にも適応」という違いが最大のポイントで、水消火剤(棒状は電気火災に不適、霧状は適応)と共通する考え方としてセットで覚えておくと混同しません。