「物理変化」と「化学変化」の見分け方を整理する
一酸化炭素の酸化や二酸化炭素の昇華など、5つの反応・変化を題材に、物理変化と化学変化をどう見分けるかを整理します。
「物理変化」と「化学変化」の区別は基本的な内容に見えて、反応の様子だけで判断しようとすると誤りやすい分野です。今回は5つの現象をまとめて問う設問を題材に、見分け方を整理します。
例題
物理変化および化学変化について、次のうち誤っているものはどれか。
- 一酸化炭素が酸化されて炭酸ガスを発生した。これは物理変化である。
- 炭素が酸素と化合して炭酸ガスを発生した。これは化学変化である。
- 炭酸水素ナトリウムが熱で分解して炭酸ガスが発生した。これは化学変化である。
- 炭酸カルシウムが塩酸で分解して炭酸ガスを発生した。これは化学変化である。
- ドライアイスが昇華して炭酸ガスを発生した。これは物理変化である。
正解は (1) です。
物理変化と化学変化の違い
見分けるコツは、反応の前後で物質そのもの(化学式)が変わっているかどうかです。
- 物理変化:物質そのものは変わらず、状態や形だけが変わる現象(状態変化・溶解・混合など)
- 化学変化:物質が反応して別の物質に変わる現象(酸化・還元・分解・化合など)
各選択肢の判定
| 選択肢 | 反応 | 反応式 | 判定 |
|---|---|---|---|
| (1) | 一酸化炭素が酸化されて二酸化炭素になった | 2CO + O₂ → 2CO₂ | ✕ 「物理変化」としているのが誤り(正しくは化学変化) |
| (2) | 炭素が酸素と化合して二酸化炭素になった | C + O₂ → CO₂ | ○ 正しい |
| (3) | 炭酸水素ナトリウムが熱で分解して二酸化炭素が発生 | 2NaHCO₃ → Na₂CO₃ + H₂O + CO₂ | ○ 正しい |
| (4) | 炭酸カルシウムが塩酸と反応して分解し二酸化炭素が発生 | CaCO₃ + 2HCl → CaCl₂ + H₂O + CO₂ | ○ 正しい |
| (5) | ドライアイス(固体の二酸化炭素)が昇華して気体になった | CO₂(固) → CO₂(気) | ○ 正しい |
(1)がなぜ誤りか
一酸化炭素(CO)が酸化されて二酸化炭素(CO₂)になる反応は、分子式そのものがCOからCO₂へと変わっており、原子の組み合わせが変化しています。これは典型的な化学変化(酸化反応)であり、「物理変化」ではありません。
(1)〜(4)はいずれも反応の前後で物質の化学式が変わっている(化学変化)のに対し、(5)だけは反応の前後で物質はCO₂のまま、状態が固体から気体に変わっただけ(物理変化)です。この対比を押さえておくと、選択肢が入れ替わっても迷わず判定できます。
まとめ: 化学変化かどうかを見分けるときは、「その物質自体が別の物質に変わったか」に注目しましょう。酸化・還元・分解・化合はすべて物質が変わる化学変化、状態変化(融解・蒸発・昇華・凝固など)や溶解・混合は物質そのものは変わらない物理変化です。